日刊スポーツの南アフリカW杯特集ページです。

  • 日刊スポーツIDについて


ここからこのサイトのナビゲーションです



2010年7月08日

準決敗退は「良かったなあ」と思う理由...

 南米最後のとりで、ウルグアイが大会から消えた。ブラジル、アルゼンチンがベスト8で消える中で唯一4強に残ったが、オランダに敗れた。素晴らしいチームだった。相手にボールを支配されても、堅い守備とカウンターで勝ち上がった。試合運びが巧みで、サッカーを熟知した選手も多い。過去2度優勝も近年の低迷で「昔のチーム」のイメージがあったが、今回は見ていても楽しいチームだった。

 それでも、準決勝敗退は「良かったなあ」と思う。準々決勝のガーナ戦が、あまりに印象が悪かったからだ。同点で迎えた終了間際のスアレスのハンド。意図的に相手シュートを弾き出したもので、退場を宣告されて相手にPKが与えられた。ところが、このPKをガーナが外した。結局、ウルグアイはPK戦で勝ち上がってしまった。

 手を使わなければ、ガーナが勝ち上がったはずだ。結果的には、手を使ったことで40年ぶりのベスト4。スアレスは、ウルグアイ国内で「英雄」とされ、ハンドは「神の手」と称賛された。明らかな反則が「勝つための手段」として正当化された。本人も堂々としていた。しかし、あくまでも違反は違反。これが認められるのであれば、サッカーはサッカーでなくなる。

 残念だったのは、FIFAの対応だ。当初は追加処分が検討されそうな話だったが、結局出場停止1試合だけ。決勝か3位決定戦には出場できる。もし準決勝に勝てば、決勝で再びスアレスが活躍して優勝の可能性もあった。ますます「ルール違反」が美化される。「フェアプレー」重視のFIFAだ。複数試合か、期限を区切っての出場停止でもよかったように思う。

 今大会は手を使ったプレーが目立つ。ブラジルのルイスファビアーノはゴールのシーンで手を使った。審判は見落としたが、ビデオでもはっきり分かる。試合後には「手を使った」と認めた。あのマラドーナでさえ、試合直後は否定した。「神の手」と言ったのは試合後しばらくたってからのことだ。反則をして、胸を張るのはいかがなものか。「勝つためには何をしてもいい」というルール無視の考え方は、スポーツを否定しているのと同じだ。

 あの場面は、世界中の子供たちが見ている。今後ゴールに入りそうなシュートを手ではたき落とす子供が現れるだろう。スアレスの行為が美化されては「何でいけないの」と本気で考える子供も出てくるはずだ。それだけ影響力が大きいことをスアレスも、FIFAも考えるべき。今大会を通して、ルールを守ることの大切さを改めて教えられた。


この記事には全0件の日記があります。


ソーシャルブックマークへ投稿

  • ツイッター
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • はてなブックマークに追加
  • Buzzurlにブックマーク
  • livedoorクリップに投稿

ソーシャルブックマークとは

OGGIの「毎日がW杯」
荻島弘一(おぎしま・ひろかず)
 1960年(昭35)東京都出身。84年に入社し、スポーツ部勤務。五輪、サッカーなどを担当して96年からデスク。出版社編集長を経て05年から編集委員として現場取材に戻る。

最近のエントリー


ニッカンスタジアムへのご参加はこちらから

[受付終了]Q33 オランダvsスペインの勝敗は?

解答期限
[07/12 03:30]

海外代表ニュース

記事バックナンバー

日本代表ニュース

記事バックナンバー

A組
南アフリカ
メキシコ
ウルグアイ
フランス
E組
オランダ
デンマーク
日本
カメルーン
B組
アルゼンチン
ナイジェリア
韓国
ギリシャ
F組
イタリア
パラグアイ
ニュージーランド
スロバキア
C組
イングランド
米国
アルジェリア
スロベニア
G組
ブラジル
北朝鮮
コートジボワール
ポルトガル
D組
ドイツ
オーストラリア
セルビア
ガーナ
H組
スペイン
スイス
ホンジュラス
チリ









大会データ 得点ランキング、日本代表全成績、W杯ヒストリー、歴代得点王&MVPなど



  1. ニッカンスポーツ・コムホーム
  2. 南アフリカW杯
  3. コラム
  4. OGGIの「毎日がW杯」

データ提供

(株)日刊編集センター/InfostradaSports

ここからフッターナビゲーションです