2010年6月18日
世界が絶賛するような守備をみせてほしい
4年に1度のビッグイベント、W杯が開幕した。世界中の目が開催地の南アフリカに集まり、日本でも連日テレビの中継に寝不足になるファンが増える。1カ月続く地球規模のお祭り。そんな大会を、サッカー取材歴25年の荻島弘一記者が書く。「毎日がW杯」。W杯のOggi(オッジ=イタリア語で今日)を追いかける。
カメルーン戦の勝利で、日本は大いに盛り上がっている。オランダ戦が面白くなったし、たとえオランダに敗れても最終のデンマーク戦まで1次リーグ突破という興味は保たれる。ジャマイカ戦に可能性を残せなかった98年大会、ほとんど無理だと思いながらブラジルと戦った06年大会に比べれば、素晴らしいことだ。「これしかない」という戦い方で勝ち点3を手にした岡田監督に感謝したい。
しかし、勝ったことはうれしいが、内容には正直失望させられた。勝つためとはいえ、ほとんど攻めの姿勢が見えなかった試合。パスをつなげる場面でも無意味なクリアを繰り返した。勝つための戦術というのなら分かるが、これが日本サッカーの現実かと思うと寂しい気持ちにもなった。
当然ながら、世界も驚いた。外電や各国通信員からくる情報は、ネガティブなものが圧倒的に多かった。「退屈な試合」「今大会ワーストゲーム」...。日本の勝利をほめているものもあるが、それは「勝てるわけがないのにカメルーンを破った」というトーンがほとんど。残念ながら、試合内容について称賛しているものはなかった(あの内容なら当然だろうが)。
シュート数5本は、1試合を終えた32カ国の中でコートジボワールと並んで最低。パス成功率59・13%は下から4番目だった。データがすべてだとは思わないが、世界中から集まってくる国の中で「攻撃的でなかった」いや「攻撃ができなかった」国であることは間違いない。
オランダ戦も当然のように守備的な戦いになるだろう。引き分ければ大きく1次リーグ突破に前進する。仮に敗れても小差なら最終戦が戦いやすくなる。もちろん勝つにこしたことはないが、多くは望むまい。守備的に戦うなら、世界が絶賛するような(たとえばスイスのような)守備をみせてほしい。せっかくアジアの予選を突破して出場権を獲得したW杯。勝つことも大切だが、それ以上に世界に「何か」を印象付けてほしいと思う。「ワーストゲーム」と言われたままでは日本サッカーが悲しい。
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