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2010年6月23日

NZ大健闘!豪州抜けたオセアニア新旗頭

 ニュージーランドが、初戦のスロバキア戦続いてイタリアとも引き分けた。スコアはいずれも1―1。スロバキア戦は後半ロスタイムに追いつき、前回優勝のイタリアから先制した。初出場の82年スペイン大会で3連敗したオセアニア代表が、28年ぶりの大舞台で世界と互角に戦った。

 大会前の評価は、あまりに低かった。決勝トーナメント進出へ「ニュージーランドから何点取れるかがカギ」とまで言われた。FIFAランクは78位、オーストラリアがアジアに転籍した後の大陸王者とはいえ、プレーオフでアジア5位のバーレーンに勝っただけで快挙といわれたのだ。

 イングランドや米国のプロ選手もいるが、多くはオーストラリアのAリーグに所属。国内でプレーする選手の中には、他に職業を持つ者もいる。MFバロンは銀行員、GKバナタインはスポーツ用品のセールスマンもいる。ちなみに会社はプーマだが、ユニホームは代表が契約しているナイキに袖を通している。

 スタイルは同国のNO・1スポーツ、ラグビーを思い起こさせるもの。フィジカルの強さを生かした球際の強さ、密集も恐れずに体ごとぶつかる。前線へのロングパスにFW陣が殺到する「キック・アンド・ラッシュ」。そのうち、ラインアウトのように、CKで他の選手を抱え上げるリフトをするかとさえ思えた(ちょっと大げさだけど)。

 ニュージーランドは大健闘だけれど、決して驚くようなことではない。オーストラリアが転籍し、オセアニアを引っ張っていく立場になった。昨年はコンフェデレーションズ杯にも出場して、スペインや南アフリカ、イラクと公式戦で対戦した。クラブW杯にもオセアニア代表として出場。昨年はオークランドが初勝利をあげた。経験が、確実に実力を底上げしている。

 ニュージーランドにとっては、自国とともにオセアニア連盟全体の利益もかかっている。現在0・5あるW杯出場枠を減らさないためにも、世界に認められることが必要だ。FIFA内には「オセアニアはアジア最終予選に組み込めば」という声もあるというが、今大会のニュージーランドの活躍をみればオセアニアに対する評価も変わってくるだろう。


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荻島弘一(おぎしま・ひろかず)
 1960年(昭35)東京都出身。84年に入社し、スポーツ部勤務。五輪、サッカーなどを担当して96年からデスク。出版社編集長を経て05年から編集委員として現場取材に戻る。

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