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オシム氏が披露「デンマーク攻略レシピ」

 これが私の「デンマーク攻略レシピ」だ。前日本代表監督のイビチャ・オシム氏(69)が19日(日本時間20日未明)、オーストリア・グラーツの自宅でE組のデンマーク-カメルーン戦をテレビ観戦。1次リーグ突破を懸けて24日の最終節でデンマークと対戦する岡田ジャパンのために、攻略ポイントをまとめ、日刊スポーツにメッセージを寄せた。引き分けでも決勝トーナメント進出が決まるが、あえて「スピードで攻めて勝利を狙え」と原点回帰を提言した。

 オシム氏 象と戦う時に、象になる必要はない。バイキングと戦う時も同じ。

 新たな「語録」が、試合終了の笛の余韻を破った。デンマーク-カメルーン戦観戦後。オシム氏は「私が考えるデンマーク戦のレシピ」を切り出した。

 オシム氏 勝ち点計算上は、引き分けこそ日本にとって望ましかった。個人的には、デンマークがカメルーンに敗れて戦意を喪失した状態で日本と当たるのが、理想的だとも思った。だがカメルーンが敗れたため、どちらでもなくなった。得失点差を考えれば、引き分けでもいい。だが勝った方がグループ2位と考え、オランダ戦のように果敢に挑んでほしい。チャンスはまだ、目の前にぶら下がっているのだから、これを生かさない手はない。

 「レシピ」の具体的な内容も、攻撃に関する言葉が占める。デンマークのDFの弱点を挙げながら、熱っぽく言葉をつむぎだす。

 オシム氏 デンマークは侮れないが、オランダと共通する弱点がある。今の流行通り、大柄なセンターバック2枚をそろえる。これに対し、小柄な選手をぶつけ、あえて流行の逆をいくのは1つの手。岡崎のシュートシーンのように、大柄で敏しょう性にやや欠けるDFは、機動力ある攻撃にもろい。タッチ数を減らし、パススピードを上げ、ボールを速く動かしながら攻めること。敏しょう性を生かし、相手の目が回るような戦い方ができれば、勝機はある。逆に肉体と肉体のぶつかり合いだけは避けないといけない。レスリングでは彼らにかなわない。

 スピードこそ日本の生命線-。日本が世界と戦うイメージと、今するべき戦いがぴたりと重なった。オシム氏は選手名も挙げてさらに具体的に語る。

 オシム氏 2列目の選手が飛び出して、本田や大久保を追い越すような動きがもっとあれば、オランダも怖かったはずだ。前線にスピードのある選手を配置すれば、カウンター攻撃の機会も増える。デンマーク戦のメンバーを決めるのは岡田監督だが、個人的には中村憲や内田らがプレーする姿も見てみたい気がする。

 中村憲はダイレクトパスでリズムを速めながら、前線に飛び出せる。内田はチーム一のスピードでサイドを駆け上がる。選手名からも、デンマーク戦で採るべき戦術が浮かび上がる。

 オシム氏 もっと言うなら、中沢や闘莉王にどんな選手と対戦するのが嫌なのか、聞いてみるといい。答えというのは、意外と身近に隠されているものだ。

 もうひとつ強調する点は、コレクティブな(集団で連動した)攻撃の必要性だ。

 オシム氏 テレビ中継ではよく戦ったと言ったが、お世辞で言った部分もあります。「もう少しで勝てる」から脱却するには、コレクティブな攻撃というものを、もう1度考え直した方がいいかもしれない。たとえば大久保は、韓国戦のテベスのようなプレーだったといえば、テベスに失礼なほどの内容だった。もっとコレクティブな攻撃を考え、駒野や長友と協力してプレーするべきだった。

 1トップの本田についても言及する。

 オシム氏 本田はもっとシンプルなプレーに徹した方が良かった。中央部でキープしようという意欲は理解するが、FWのポストプレーは彼の専門ではない。まして大柄なオランダDFとレスリングをしているようではすぐに消耗する。長い時間キープをしようとして、ゴールに迫るどころか逆にボールを失い、相手チームの攻撃の起点をつくってしまった。本来本田は、相手にとって非常に危険な選手。勇気もある。メディアのみなさんも、彼がFKを外したことを取り上げるよりも、彼の力の生かし方を議論するべきでしょう。

 90分間ベタ引きで守って0-0で乗り切れば、1次リーグ突破は可能。だがオランダ戦の例も持ち出して、その危険性を強調する。

 オシム氏 オランダ戦では前半のような戦いを、後半開始直後も続けられれば、失点を防ぐことができただろう。しかしサッカーは相手がある競技だ。オランダが後半の立ち上がり、攻勢をかけてくることは予想できたはずだ。だがプレッシャーを受けて怖がり、簡単にボールを失う場面が続いた。失点は「あの一瞬だけ」ではあるが、オランダに主導権を渡してしまったことが原因。ゲームの流れから喫した失点だ。最初から引き分け狙いは難しい。次はデンマークを怖がらせ、どうしたらいいか分からないところに追い込むような、アグレッシブな展開が必要だと思う。

 自らの経験が語らせる。ユーゴ代表監督時代の90年W杯1次リーグ2戦目コロンビア戦。最終戦がUAE相手で白星確実だったため、引き分けで十分だったが、それでも勝ちにいった。スター選手サビチェビッチを先発から外し、主軸カタネッツを前半で退かせて、チーム戦術を徹底。難敵相手に1-0で勝ちきった。日本にも日本らしいサッカーを貫き、勝ちを狙ってほしいと願う。

 オシム氏 日本がやっていることは間違いはない。どんな強豪とも互角に戦える日本サッカーの存在を示せたことは収穫だ。オランダには負けたが、自信を持つべきだ。デンマークも本来の戦い方ができていない印象。ベントナーら有名選手が実力を発揮できれば、頭痛のタネだが、優秀な選手が集まるだけではいいチームはできない。相手をリスペクトしすぎないこと。そしてアグレッシブに戦ってほしい。(構成・塩畑大輔、取材協力・千田善)

 [2010年6月21日10時11分 紙面から]


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