スペインを意識しすぎたドイツ

＜Ｗ杯：スペイン１－０ドイツ＞◇準決勝◇７日◇ダーバン

　ドイツは立ち上がりから消極的すぎた。準々決勝のアルゼンチン戦のような前線からのプレスはなく、自陣に引いてしまった。中盤にスペースを与えたため、スペインに自由にボールを回された。こうなるとドイツの良さは消え、スペインの良さばかりが出る。失点は時間の問題だった。

　ドイツは、スペインを意識しすぎていた。２年前の欧州選手権決勝の敗戦を、引きずっていたようだ。確かに２年前は両者の実力に大きな差があった。０－１だったが、試合内容は点差以上だった。「プレスに行ったらかわされる」という思いが、ドイツから積極性を奪った。若手を加えて２年前より力はあり、勢いにも乗っていたが、スペインに対する恐怖心は変わらなかったのかもしれない。

　もう１つは、コンディションの問題。４強を目指していたドイツは、準々決勝がピークだった。最高の内容でアルゼンチンを乗り越えて、急激に体力が落ちこんだ。逆に、１次リーグで調子の出なかったスペインは、決勝へ向けて徐々にコンディションがよくなっている。１カ月の長丁場、どこにピークに持ってくるかは、試合の結果にも大きく影響する。（日刊スポーツ評論家）