電話しろ！みんな怒っているぞ！

７月７日（水）
　過酷な遠征でダーバンへやってきた。ケープタウンでオランダ対ウルグアイ戦が終わり、ホテルに戻ったのが、既に７日の１時近く。そこから原稿を仕上げ、早朝６時半にホテルを出発。まず８時の飛行機でヨハネスブルクへ飛び、午後の便でダーバンへ移動した。

　また、このダーバンが暑い。冬場でも２０度を超え、まさに常夏状態。ダウンジャケットを着ていると、すぐにゆで上がってしまう。一日の中に四季が何度も訪れる南アフリカとあって、体調を崩しかねない。注意していたつもりだが、やはり、今回の出張で初めて異変が訪れた。

　夜になって少し吐き気を覚えた。ただし、今回は大事なスペイン対ドイツ戦。ここは気合で乗り切るしかない。試合は幸いにも９０分で決着がついたため、日付が変わる前にスタジアムを後にした。

　しかし、すんなり終わらない。今回も南アならでは「洗礼」があった。メディア専用バスが、やってくる気配がまったくない。待たされるメディアの不満はたまる一方だ。前回のダーバンでも１時間以上も待たされるなど、痛い目にあった苦い記憶がよみがえる。ここいは時刻表なんてあってないようなものだ。早く帰りたい一心で、会場ボランティアの黒人男性をつついた。「ドライバーに電話してくれ。もう、みんな怒っているぞ」。あえて怖い表情をつくり、顔をのぞき込んだ。おもしろいもので、こうすれば、事態は改善される。わずか５分後、あっさりバスはやってきた。

　１カ月も南アフリカで暮らせば、さまざまな処世術を覚える。すべてがスローに動くこの国だけに、こういう駆け引きも必要な要素なのだ。