南アフリカW杯
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岡ちゃん進退伺「申し訳ない」／親善試合

: 韓国戦の会見を終え、深々と頭を下げる岡田監督（撮影・鹿野芳博）

＜キリンチャレンジ杯：日本０－２韓国＞◇２４日◇埼玉

　岡田ジャパンがＷ杯を直前にして「死に体」に陥った。宿敵韓国に壮行試合で完敗した直後、岡田武史監督（５３）が、日本協会の犬飼基昭会長にこの時期としては異例の進退伺を出した。２月の東アジア選手権に続き韓国に連敗したことに加え、攻守ともにほぼ収穫もなし。Ｗ杯へ向けて不安ばかりが募る現状に、追い詰められたのか。犬飼会長からは「続投」の後押しを受けたが、指揮官が本番前に辞意を表明する異常事態。Ｗ杯への希望の光は見えてこない。

　このままＷ杯に臨めるのか－。攻守に収穫が乏しく、宿敵に完敗した一戦の直後、岡田監督は誰もが首をひねる行動に出た。懸命に戦う選手をよそに、犬飼会長に進退伺を出したことを会見で明かしたのだ。

　岡田監督　１年で韓国に２回も負けて申し訳ない。当然、監督の責任問題も言われると思いますので、会長に（進退伺を）問いただしたら、いや、尋ねましたら「やれ」ということだったので、前に進むしかないと思います。（自分が）自信がなくなったとかではなく、「会長、（私は監督を）続けていいですか？（続ければ）会長もいろいろ言われますよ」と聞きました。

　試合後のスタッフ用控室。１５分あまりの時間を、犬飼会長との話し合いに割いた。まさかの進退伺に、同会長は「ずっと（岡田監督と）話していたよ。中身は言えない。プレッシャーがあった中で思うようにできなかったから、ショックを感じているようだった」と慎重に話した。

　Ｗ杯直前の進退伺は極めて異例と言える。ＭＦ遠藤が「ぼくらも死に物狂いでやっている。監督の気持ちは伝わっているし、ぼくらも責任を持ってやりたい」と話したように、選手は苦境の中で前進を続けている。その中で、指揮官だけがファイティングポーズを下ろしかけた事実。隠さずに公言したことで、世界の舞台に挑む選手のモチベーションに多大な影響を与える可能性がある。百害あって一利無しの行為だ。

　ＤＦ闘莉王、内田、ＭＦ松井と主力３人が欠場。誤算もあったが、この日の一戦は攻撃面で韓国守備陣を脅かしたのは２～３度のみ。守備では朴智星の個人技で先制点を奪われるなど、よりレベルの高い攻撃陣をそろえるカメルーン、オランダ、デンマークとの戦いを前に不安だけが残る形となってしまった。

　４月７日のセルビア戦直後には３バックの導入を示唆した。さらに、この日の完敗後「ウチは先制点を奪われて相手に守備を固められると苦しい。これからは（先制されないように）前半はある程度守備的な選手でやって、後半パスを回せる選手を入れるなど、前半の戦い方を考えないといけないと、今日感じた」と明言。貫いてきた連動性を求める戦術からの方向転換と取れる発言に、指揮官の迷い、ブレが垣間見えた。

　五輪、野球のＷＢＣと同様に国の威信をかけて戦うＷ杯を前に、ありえない進退伺。岡田監督が「我々は我々のやり方を信じて、このまま突き進んでいくしかない」と話しながら、迷走を繰り返していては、世界４強という目標など実現できるはずがない。【菅家大輔】

　［2010年5月25日9時26分　紙面から］