日本Ｖごほうびに3255万円の純金ボール

　０２年Ｗ杯日韓共催大会以来の決勝トーナメント進出を目指す日本代表に１９日、ビッグプレゼントが用意された。東京・銀座に出店する純金製品加工会社「信州ゴールデンキャッスル」が優勝を条件に重量３キロの純金特注サッカーボールを、最も活躍した選手に進呈するという。オランダに惜敗した日本代表に対して土屋豊社長（５９）は「決勝で雪辱すればいい」とゲキ。時価３２５５万円の「金の球」が、岡田監督の掲げる"４強"を上回る奇跡につながるか！？

　台座から１ミリほど浮かせただけで、両手首にズシリと重みが伝わった。数秒で元に戻したが、心臓はバクバクと脈打ち、緊張から額に汗がにじんだ。実際に純金製のサッカーボールを持ってみた。直径２１センチ、重さ３キロ。傷がつかないように白手袋をはめたが、手のひらにはホンモノの金のひんやり、ツルンとした質感が残った。時価総額は税込みで３２５５万円。このボールは、もし日本代表がＷ杯南アフリカＷ杯を制すれば、原動力になった選手に贈呈されるという。

　作製したのは純金製品加工の国内最大手「信州ゴールデンキャッスル」（本社・長野県松本市）。０２年日韓、０６年ドイツに続いて３大会連続で同サイズの"黄金ボール"をつくった。過去２回は最初から一般への販売品として０２年が２００２万円、０６年も２００６万円と開催年に合わせた価格で展示販売した。ともに無事に売れた。

　今回はアクリルガラスケースに入れて、東京・銀座で展示販売している。オランダに惜敗したとはいえ、決勝トーナメント進出を狙う日本代表へのエールを込めて販売を一時中断するという。土屋社長は「今回、日本代表が優勝できたら、純金ボールを活躍した選手に感謝を込めて贈呈したい。オランダとも互角以上の戦いをした。１失点だし、本当によくやった。岡田監督も素晴らしい」とサムライ戦士のプレーに感激して決断した。

　岡田監督が大会前から掲げてきた「目標はベスト４」でさえ夢のようなのに、優勝を条件にした。日本がＷ杯自国開催に沸いた０２年、土屋社長の長男は中学生でサッカー部に所属し、横浜市選抜チームにも入る逸材だった。ことあるごとに三ツ沢球技場で応援してサッカーへの情熱が芽生えた。そこで日本代表を応援する手段として純金ボールを製作することを決意した。

　特に今回の日本代表は、海外で開催のＷ杯で初勝利を挙げた。その初戦のカメルーン戦は、相手の攻撃の芽を早い段階でつぶす守備的な戦術で世界各国の報道陣や評論家から「つまらない」と非難された。土屋社長は「危険を最小限に食い止めて、わずかなチャンスで得点を奪った。打開策の見当たらない日本経済へのヒントになる」と激賞した。

　ちなみに、仮に日本代表が奇跡の優勝を成し遂げたとして誰にこのボールを贈るのか？

　「気迫の守備をみせる川島君が気になる。デンマークを撃破して、最後は決勝でオランダに雪辱すりゃいい」と土屋社長は真剣に語った。【寺沢卓】