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2010年6月02日

カメ戦「弾丸ツアー」は募集の3割

 サッカー日本代表のW杯観戦...まだ、間に合うんです! 応援観戦の定番「弾丸ツアー」が土壇場にきて見直されてきた。舞台となる南アフリカの情勢不安や遠~い場所などから集客は3割に満たない"低空飛行"だった。ところが、5月30日のイングランド戦での善戦からか、1日に締め切られたカメルーン戦は参加者が微増した。4日まで申し込める2戦目のオランダ戦は、現地で1泊できる、って知ってましたか?

 ちょっとした異変が起きた。日本代表のカメルーン戦の弾丸ツアーへの応募は1日に締め切られたのだが、ほんのちょっと申し込みが増えた。

 JTBの弾丸ツアー担当は「実は昨日(5月31日)も少し増えたんです。ここ2週間ほど参加者が全然伸びなかったので驚いてます。もしかしたらイングランド戦が影響してるんじゃないか...と思うことにしています」と戸惑うような声で明かしてくれた。

 それでも、2戦目のオランダ戦と合わせても参加者は全体の3割に届いていない。今回は日本から中継地点のバンコクまでは定期便に乗り、チャーター便はバンコク~南アフリカ間となる。つまり、チャーター機内では座席を3席占領して寝っ転がれる計算になる。「過酷」が売りの弾丸ツアーが実は、かなりゆったり過ごせるのだ。

 オランダ戦は4日まで申し込むチャンスがある。日程面でも平日なのは、出発する18日の金曜と、帰国する21日の月曜だから少しは休みやすいかもしれない。前出の弾丸ツアー担当も「日本からの直行便のない南アフリカに行けるチャンスは今回を逃すと、なかなかないかもしれませんよ」と哀願にも似た売り込み文句をつぶやいた。

 今回のW杯は南半球での開催なので、実は真冬。夏に向かっている日本では忘れがちだが、スタンドで観戦していれば当然寒い。今までの弾丸とは違って、オランダ戦の旅程では観戦後にダーバン市内のホテルにチェックインして1泊できる。弾丸ツアー史上初めての宿泊になる。現地時間の19日午後6時ごろホテル入りして、翌20日午前4時に空港に向かう予定。熱いシャワーと睡眠できるベッドがついている。

 仮にカメルーンとオランダに連勝でもしようものなら、極楽気分で帰路につける可能性だってある。基本的には観戦チケットを持つサポーターを対象にしているが、JTBでは「現地で観戦したいというのであれば、ご相談ください」と話している。南アフリカに行きますか? 行きませんか? 【寺沢卓】

 ◆弾丸ツアー 98年、東京・丸の内にあった「JTB東京支店サッカーデスク」(現在は移転)の担当者が、日本代表のW杯初出場に試合だけを観戦する現地宿泊ゼロの観戦プランを発案。当時の日本代表のユニホームが袖口に炎をデザインしていたこともあり「サッカー小僧・炎の弾丸ツアー」と名付けた。弾丸は飛び出して戻ってこないため「ブーメランツアー」も候補になったが「ブーメランは行った場所にとどまれないのでやめました。弾丸には勢いのよさもあったので採用した」(JTB広報室)。この年に商標登録をしたため、他社は"弾丸"でのツアー発売はできない。

 ▼他社の状況 今回は各社苦戦したが、近畿日本ツーリスト(KNT)は約4000人の目標のうち9割以上の申し込みを受け付け、5月末に応募を締め切った。これまでW杯観戦ツアーは、日本代表を応援する一般個人サポーターをターゲットにしていた。KNTでは、確実に現地観戦する国際サッカー連盟(FIFA)のスポンサー企業、報道、広告代理店など法人営業に力を注いだ。さらに韓国と中国での販売権を獲得して東アジアでの売り込みで業績を伸ばした。KNTの立花泰明広報課長は「W杯の魅力は日本代表に限ったものではない。これは4年後のブラジル大会にも通じます。視点を変えたことがうまくいった」と次大会での世界戦略も示唆した。

 ◆チャーター便 旅行会社や航空会社が、団体旅行客など利用者のために貸し切る場合をいう。航空業界では、定期航空路線が無く利用者に合わせて不定期に、日時、方面を決めて運行することが可能。正式には「専属輸送」という。


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