南ア大好き"日本代表"は派手系アラフォー美女

　東京・赤坂から南アフリカの魅力を発信している日本人女性がいる。政府出資の観光誘致機関「南アフリカ観光局」で実務を取り仕切る日本地区トレードリレーションシップ・マネジャー近藤由佳さん（３８）だ。茶髪の巻き髪と派手めのワンピース姿は、南アの人たちも振り返るほどの個性派。「日本一南アフリカが好き」という情熱でＰＲを続けている―。サッカーＷ杯南アフリカ大会開幕が迫りました。日刊スポーツは社会面でも世界最大のスポーツの祭典に迫ります。

　日本から約１万４０００キロ離れたアフリカ大陸最南端の国・南アフリカ。日本から主に香港まで４時間、香港から１３時間のフライトで到着するが、日本人にとってまだまだ情報も少なく、距離以上に遠い存在だ。Ｗ杯開催で注目されたが、治安面の課題などマイナスイメージも先行しがち。そんな逆風をものともせず、南アの魅力を伝え続けている。

　近藤さん　歩いたら殺されるみたいに言われるけど、そんな悪い人ばかりじゃない。大半の人は優しくて温かい、いい人です。南アはいろいろな人がいて、人との違いは悪いことじゃなくて、個性として認めてくれる。ありのままの自分でいられる国。たぶん、南アを日本一好きなのは私です。治安問題は課題だけど、もし心配なら南ア観光局の近藤まで直接電話をください。納得するまでしゃべります。

　旅行業界関係者に南アを紹介する研修旅行でも、ありのままだ。服装はピンク、青、黒などのミニのワンピースが主体。金色スパンコールのバッグを輝かせ、南アの人も振り返るほどの派手系美女だ。

　近藤さん　お洋服は名古屋で買います。「キラキラ」「ミステリアス」「セクシー」な服が元気が出るから好き。旅行なら、女の人はおしゃれをしたいでしょ。野生動物が派手な色に怒るとか言われるけど「ゾウが何よ、ライオンが何よ」と、ぜんぜん気にしない（笑い）。現地の人にも「あのアジアンガール」と覚えてくれるし、研修旅行参加者からも「見つけやすくて便利」と言われます。

　９５年に家族の転勤でアフリカ南部のザンビアに移住。同国で始めたゴルフはハンディ１０まで上達し、同国アマ代表としてアフリカ大陸を転戦する中で、南アを初めて訪れた。

　近藤さん　日本代表が泊まる「ファンコート」でゴルフをしたり、ケープタウンでお洋服や冷凍のマグロやサーモンの刺し身を買いに行ったり。南部アフリカでは都会だったから、大好きな国でした。０４年に帰国後、自分の人生の中でアフリカが大きな部分を占めるようになり、日本でどんどん忘れていくのがすごく嫌だった。そんな時、南ア観光局の求人情報を見つけて。年齢制限や必要資格なんか全部無視して（笑い）すぐに履歴書を送って、アフリカのお仕事ができることになりました。

　いよいよ本番を迎えるＷ杯では、日本代表と南ア代表を両方応援する。

　近藤さん　本番に向け、南ア国民がだんだん団結してきているのがうれしい。期間中は日本で仕事ですが、アフリカ大陸初のＷ杯の雰囲気を、十分に楽しみたいと思っています。【構成・清水優】

　◆近藤由佳（こんどう・ゆか）１９７１年（昭和４６）６月８日、名古屋市名東区生まれ。岐阜県土岐市で育ち、岐阜県立瑞浪高から名古屋外大外国語学部英米語学科卒。日本航空系のグランドスタッフ（地上職）として勤務後、家族の転勤で９５年にザンビアへ転居。現地で始めたゴルフがめきめき上達し、アマゴルフのザンビア代表選手としてアフリカ各国を転戦。０４年に帰国後、全日空系の予約業務関係会社を経て、０５年から南ア観光局で勤務する。１５８センチ、４４キロ。独身。

　◆南アフリカ共和国　１７世紀にオランダなどが進出したが、１８７９年以降は英支配態勢。１９１０年、英自治領として４州が南アフリカ連邦として統合。３１年、英と同等の主権国家に。人種隔離政策「アパルトヘイト」が４８年から法制化。英に人種政策を批判されたことで６１年に英連邦から脱退、共和国に。アパルトヘイトは９４年４月にマンデラ大統領就任で撤廃された。人口は約４９３２万人。公用語はズールー語、アフリカーンス語、英語など１１種。夏季は１０～３月、冬季はＷ杯開催期間を含む５～８月。首都（行政府）プレトリアで、立法府ケープタウン、司法府ブルームフォンテーン。国鳥はハゴロモツル、国の動物はサバンナに生息するウシ科のスプリングボック。大統領は今年５月９日に就任したジェイコブ・ズマ氏。

　◆南アフリカ観光局　南アフリカ政府が観光情報発信のために政府出資１００％で設立した政府系機関。アジア・太平洋地域には、中国にヘッドオフィスを置き、韓国、日本に事務所がある。同地域はブラッドリー・ブラウワー氏が代表で、普段は北京に常駐。日本国内では主に近藤さんが実務を担当する。東京都港区元赤坂１の１の２　赤坂ライオンズビル２階。電話０３・３４７８・７６０１。