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2010年6月14日

中津江村からカメルーンへ靴300足

 カメルーン代表を熱烈応援する日田市中津江村(大分)では14日、日本戦のパブリック・ビューイング(PV)を開催するが、カメルーンの少年らに靴を贈る計画を立てていることが13日分かった。カメルーンでは、はだしでサッカーをする少年がいまだに破傷風などで命を落とすという。そこで少年サッカーチームに使っていない靴の募集をかけたところ300足以上が集まった。02年日韓W杯でのキャンプ地となった縁が、両国のサッカー親善につながっていく。
 中津江村の鯛生(たいお)スポーツセンターで13日、大量の靴が倉庫から搬出され、すべて並べられた。10センチ前後のスニーカー、子ども用のサッカースパイクなど計305足。九州では12日に梅雨入り宣言が発表されたこともあり、倉庫に保管したままでは、カビが付くなど痛んでしまうため、室内干しをしたもの。これはカメルーンの靴の買えない子どもらのために集められた使用済みの靴だ。
 02年日韓W杯でカメルーン代表がキャンプ地にしたことで中津江村は、日本だけではなく世界中に配信された。町村合併で現在は日田市となり自治体としての村はなくなったが、地名として「中津江村」が残されるほど知名度は高い。今回の「靴のプレゼント」は当時、同スポーツセンターの所長で以来、カメルーンとの交渉担当の長谷俊介さん(56)が企画した。
 長谷さんはカメルーン代表とのキャンプ地契約で02年1月に現地に飛んだ。そのときに土の上でゴムを丸めたボール状の物体を蹴ってはだしでサッカーに興ずる子どもを目撃。「さすがにアフリカはたくましいな」とガイドに話し掛けると「はだしだから破傷風になって命を落とすこともある。エトーもはだしでサッカーをしていたが生命力があったんだ」と返された。そのときに靴の重要性に気付かされたという。
 04年5月から小学生のサッカーチームを対象とした大会「カメルーン杯」を実施し、10年で開催7回目となった。参加した16チーム(総勢250人参加)に、使用済みで履けなくなったシューズの提供をお願いした。すると1チーム50足以上、中には幼稚園から保管していた8足を持ってきた選手もいた。あるチームのコーチからは「次にカメルーンの子どもが使うことを意識すれば、ものを大事にすることを学ぶと思う。それは丁寧なプレーだったり、一般的な優しさにもつながるはず。来年以降もやってほしい」とエールを送られたという。
 靴の募集をとりまとめた同センター職員の津江みちさん(34)は「目標が50足だったので驚いている。ボールが31個、使わなくなったユニホーム1チーム分までいただいた。ありがたいです」と喜んだ。現在、現地に搬送する手段について詰めており、10年中には中津江の靴がカメルーンの大地で活躍するはずだ。【寺沢卓】


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