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森本貴幸の原点…津田山FCに行った

2010年5月24日

<森本貴幸:取材後記>
 川崎市宮前区、閑静な住宅街にある東高根森林公園から、元気な子供たちの声が聞こえてくる。日本代表FW森本貴幸(22)が育った津田山FCは、創立32年目の「町のクラブ」だった。幼稚園の年中から小学校6年生まで、総勢150人ほどがサッカーを楽しむ。もちろん、コーチは保護者を中心としたボランティア。日本期待のストライカーは、どこにでもある普通のクラブから生まれた。
 指導陣は代替わりしていて、当時の森本を知るコーチはいない。「森本の出身クラブ」を宣伝することもない。「親は知っているみたいですけど、小さい子供たちはよく分からないようですね」。創設者で2年前に亡くなった高田峰生氏から代表を引き継いだ福士賢治氏は笑った。
 決して強豪チームではない。しかし、「基本技術習得」を指導方針に、札幌の元日本代表DF箕輪義信や元湘南のFW森谷佳祐(現SC相模原)ら森本以外にもJリーガーを輩出している。福士氏は「このあたり(川崎市)はサッカーが盛んだし、たまたまいい子が集まったんでしょう」と謙遜(けんそん)したが、それが伝統の力なのかもしれない。
 「プロになれるのは、ごくわずか。途中でクラブを辞めていく子も多い。そういう子供たちの方が気になりますね。ずっとサッカーを好きでいてほしい」と福士氏は言った。森本は今でも帰国すると津田山FC時代の仲間とフットサルに興じるという。それぞれ別の道を歩むかつてのチームメートが、セリエA選手と一緒に喜々としてボールを追いかける。そんな姿を想像すると、みんなサッカーが大好きなのだろうと思う。【荻島弘一】


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奇跡に挑む者たち
奇跡に挑む者たち
 日刊スポーツ紙面では「世界4強 岡田ジャパン 奇跡へ」を連載中です。「奇跡」をキーワードにいくつかのテーマに分け、現在は日本代表23選手のルーツを探る「奇跡に挑む者たち」を連載しています。ニッカンコムでは、各回の「取材後記」を掲載しています。紙面とあわせてお楽しみください。

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