2010年5月27日

＜中沢佑二：取材後記＞
　リンク栃木ブレックス田臥勇太（２９）のＮＢＡ挑戦を日本代表ＤＦ中沢佑二（３２＝横浜）が支えている。
　中沢は、惨敗に終わった今年４月の親善試合セルビア戦から数日後、東京・代々木体育館に足を運んだ。友人の田臥が日本一を目指し、プレーオフを戦っていたからだ。田臥は「シビアな試合が終わったばかりなのに、わざわざ応援に来てくれて、本当にうれしかった」という。そして「中沢さんという存在が、僕の挑戦を支えてくれている」と話した。
　田臥は日本人初のＮＢＡ選手として知られるが、何度もＮＢＡのチームから戦力外通告を受けている選手でもある。そのたびに自分を奮い立たせ、傘下のチームでプレーを続けながら、挑戦を続けてきた。日本復帰後も、再びＮＢＡに挑戦する意志を表明した。
　そんな田臥が保存している一通のメールがある。競技の枠を超えて親交を深めてきた中沢から送られてきたものだ。２人は、トレーニング法やメンタル面のケアなどさまざまなことを相談し合い、励まし合ってきた。田臥は日本復帰後に「いつかまたＮＢＡで試合に出ることができたら絶対にアメリカに見に来てください」と中沢にメールを送った。今も保存しているのはそのメールに対する中沢の返事だ。田臥の奮闘に自分も勇気づけられているという内容で「アメリカで応援できる日を楽しみに待っています」と結ばれている。田臥は「自分のモチベーションを高めてくれるメールなんです。自分の夢を信じてくれる人がいると思わせてくれる。だからこそ、必ずかなえてみせる、そんな気持ちになるんです」。高い目標を掲げるアスリートは、何げない言葉さえも自分の力に変えていく。【松田秀彦】