2010年5月10日

＜長谷部誠：取材後記＞
　愛すべき天然キャラ。取材を通して、日本代表のピッチや試合後のミックスゾーンでは見せない、長谷部誠（２６）の素顔に触れた気がした。藤枝東高時代のサッカー部の同期、松田義人さん（現Ｊリーグ清水営業企画部）は、当時の思い出をひもとくたびに、同じフレーズを繰り返した。

　「結局ド天然ですからね、ハセベは」。

　チームメートとの外食の際には「ここはオレが」と代金をテーブルに残して、さっそうと店外に消えることを好むが、たいてい金額が全然足りない。サッカー部の部室内の席替えくじ引きで、毎回幹事に立候補して張り切って準備をしたが、必ず窓際の最悪の場所を自ら引いて爆笑を誘う。長谷部の天然エピソードを、松田さんはいかにもおかしそうに振り返り続けた。

　長谷部の同級生はＭＦ成岡、ＤＦ大井（ともに現磐田）ら年代別日本代表がそろう１学年下の陰に隠れ、試合出場すらままならなかった。だが同級生からも下級生からもいじられる、天然キャラ長谷部を中心に、チームは不思議と１つにまとまったという。

　現在の日本代表でも中村俊、遠藤らベテラン勢をいじり、本田や森本ら新戦力にツッコミを入れ、世代間の潤滑油になっている。長谷部の明るいキャラクターは、いつもチームをまとめる求心力になっている。【塩畑大輔】