【Sawbona! W杯】日本のE組ライバル分析・カメルーン
2009年12月22日
同僚俊輔のFK止める!
南アフリカW杯最初の敵は「カメルーン版巨人の星」だ! 1次リーグ初戦で日本が対戦するカメルーンでは、エスパニョールGKイドリス・カメニ(25)が守護神として君臨する。同国の元代表で、W杯3回出場の伝説的GK、トーマス・ヌコノ(53=現エスパニョールGKコーチ)に鍛え上げられた。チームメートの日本代表MF中村俊輔(31)を知り尽くした「親子」が、岡田ジャパンに立ちふさがる。(山本孔一、松本愛香通信員)
99年、ワールドユース・ナイジェリア大会1次リーグ初戦の日本戦。カメルーンA代表コーチだったヌコノは、初めて見るカメニのプレーに目を奪われた。この大会で準優勝した小野、高原ら「黄金世代」を抱えた日本のシュートを、わずか15歳の少年が楽々とセーブする。才能を見抜いたヌコノは、大会後のフル代表招集を即決した。
ここから「カメルーン版「巨人の星」の物語が始まった。2人のコンビで00年シドニー五輪金、02年アフリカ選手権優勝、03年コンフェデ杯準優勝。さらに、ヌノコは03年にエスパニョールにGKコーチとして復帰すると、古巣巨人に息子飛雄馬を入団させた星一徹のように、1年後にカメニ獲得を実現させた。
◆育成法
(1)「欧リーグ養成ビデオ」 星一徹はバネ6本の「大リーグ養成ギプス」を飛雄馬に与えたが、ヌコノはVTR数百本でカメニを鍛え上げた。身体能力・反射神経にたけた一方、カメニは戦術理解や経験を欠いた。ヌコノはカシジャスやブフォンのプレーVTRを多数入手し、カメニに見せながら、戦術やポジショニングの重要性を説いた。
(2)「雨雨カメニ雨カメニ」 飛雄馬同様、ケガでボールが血染めになろうと、試合には出し続けた。クラブではGKコーチの立場も「利用」し、常時起用。カメルーン代表のGKコーチも兼任し、国際試合にも常に出場させた。カメニが低調な時期には「優れた才能を持つ他のGKをスポイルしている」と批判もされた。それでも「起用を決断するのは監督。自分は他のGKも同じように接している」とそしらぬ顔を決めた。
(3)「ちゃぶ台をひっくり返す」 夕食をともにし、守護神としての哲学を注入した。「カメニが言うことを聞いてくれないこともあった」と振り返るように、食卓をひっくり返さんばかりの勢いで、激しく意見をぶつけあったこともあった。「GKだから守備陣に指示ができないと。私も2週間語学学校だけに通い、後は同僚に直してもらったものだ」とスペイン語の勉強相手にもなった。
「彼は小さい時からのアイドルだったし、今では自分のサッカーの父と言える存在」とカメニ。昨季終盤には550分間無失点のクラブ記録も樹立し“父”も超えた。あとはW杯で結果を残し、世界に実力を認めさせるだけ。ヌコノはそのために、初戦で対戦する中村の分析もひそかに開始している。エスパニョールの番記者たちは明かす。「ヌコノは何げなく、中村のFK練習の時にゴールマウスに立っている。球筋を見定めているのではないか」。打倒花形満、いや打倒中村とばかり、日本の前に親子鷹がたちふさがる。
◆イドリス・カメニ 1984年2月18日、カメルーン・ドゥアラ生まれ。エトーらを輩出したカジ・スポーツアカデミーで育ち、00年にはルアーブル移籍で欧州進出。04年からエスパニョールでプレーし、06年国王杯準優勝などに貢献。カメルーン代表としても、02年W杯などに出場。186センチ、78キロ。
10代で続々W杯出場
カメルーンはアフリカ屈指の選手輸出国として、カメニ以外にも有望な若手選手を数多く輩出している。世界最強のストライカーの1人に数えられるFWエトーは16歳でRマドリードと契約。98年W杯に17歳で出場し、後にバルセロナでスペインリーグ得点王のタイトルを獲得。欧州チャンピオンズリーグ2度の優勝に貢献した。今季から所属するインテルでも、セリエA初挑戦ながらすでに7得点を挙げている。
国際Aマッチ通算131試合に出場してきたベテランDFのR・ソングは、17歳で94年W杯に出場。直後にメツで欧州デビューも果たした。おいのA・ソングも16歳からバスティアでプレーし、17歳でアーセナルに入団。DFエコト、バソング、ヌクル、MFエマナら主力もそろって10代から欧州でプレーしており、年齢にそぐわない経験を身に付けている。
カメルーンアラカルト
◆国 中部アフリカの共和制国家。人口は1952万2000人。面積は47万5440平方キロ。首都はヤウンデ。最初に訪れたポルトガル人が、「カマラウン(小エビ)」がたくさんとれることで名付けたのが国名の語源。石油やカカオ、コーヒーの輸出が主な産業。
◆著名人 フランソワーズ・ムバンゴは04年アテネ五輪女子3段跳びで、同国出身の陸上選手初の金メダル。世界的ベーシストのリチャード・ボナは、NHK「みんなのうた」に「風がくれたメロディー」を提供した。パトリック・エムボマはG大阪でプレーし97年Jリーグ得点王。「浪速の黒ヒョウ」と呼ばれた。
◆スポーツ 19世紀のドイツ領時代にサッカー文化が流入。以来最も人気があるスポーツ。
◆過去のW杯成績 82年大会に初出場以来、過去5回出場。90年の8強が最高成績。
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