日本のＥ組ライバル分析・オランダ - Sawbona（こんにちは）南アフリカ : nikkansports.com

【Sawbona! W杯】日本のＥ組ライバル分析・オランダ

2009年12月09日

ファンデルサール待望論

　Ｅ組のシード国オランダでＧＫエドウィン・ファンデルサール（３９＝マンチェスターＵ）待望論が浮上している。オランダはＷ杯欧州予選９組を８戦全勝で突破した。豊富なタレントを誇る攻撃陣に比べ、守備陣の見劣りは隠せない。正ＧＫステケレンブルクが、所属するアヤックスで定位置を失うなどＧＫは最大の不安だ。「サウボーナ！　Ｗ杯」では今回から順次、日本と対戦するＥ組の３カ国を徹底分析する。（エリーヌ・スウェーブルス、春日洋平通信員）

Ｖ候補オランダを巨大にするＧＫ

　オランダ悲願のＷ杯制覇を完成させる最後のピースがファンデルサールだ。オランダはＦＷファンペルシー、カイト、ロッベン、ＭＦスナイデルら攻撃陣は人材が豊富。予選８試合１７ゴールで、欧州からＷ杯一番乗りを果たした。一方で守備陣には柱になる世界トップレベルの選手がいない。その穴を１人で埋めることができるのが、同国代表史上最多のＡマッチ１３０戦に出場した鉄人守護神だ。

　９４年に代表デビュー、９８、０６年のＷ杯に出場した。０８年欧州選手権後に代表引退を宣言。しかし、その後も国民の復帰へのラブコールは止むことがない。昨年１０月のＷ杯欧州予選序盤の故障者続出でチームが危機にひんしたとき、ファンマルバイク監督の説得に応じ、２戦限定復帰した。その２戦の完封がチームを波に乗せ、８戦全勝での予選突破につながった。

　本人も復帰に含みを残している。左手指骨折のリハビリ中の９月２日、代表復帰について「１歩ずつ進んでいきたい。まず回復するのが第一」と話した。翌日にはファンデルサールから主将を引き継いだＤＦファンブロンクホルストが「僕は愛を込めてキャプテンマークを彼に返す。代表選手全員が彼を気持ちよく歓迎すると思う。今、一番大事なのは、エドウィンの意思がはっきりすること」と熱烈なラブコールを送った。ファンマルバイク監督も「彼は私の電話番号を知っているはず。自分から言ってきてほしい」と話し、復帰への障害は本人の決断だけだ。

　オランダ守備陣は予選８戦で２失点と数字は残した。だが、予選同組のスコットランド、ノルウェー、アイスランド、マケドニアは明らかに格下。強力攻撃陣が前掛かりになれば、必ず守備に穴ができる。Ｗ杯レベルの相手は確実にその穴を突いてくる。ファンデルサールならセンターバックのディフェンスラインのコントロールを助け、相手ＣＫの際の守備陣形も確実に指示できる。

　所属するマンチェスターＵでは今も進化を続けている。プレミアリーグでの１試合平均失点は０５－０６年に０・９点、０６－０７年が０・８点、０７－０８年と昨季は０・６点と年々向上。今季はケガの影響で試合数は少ないが、枠内シュートのセーブ率は８３％でリーグトップだ。現在３９歳。次の１４年大会に出場できる可能性が薄いことは本人も分かっている。代表で最後のひと花を咲かせる決断を、オランダ国民は待ち望んでいる。

　◆エドウィン・ファンデルサール　１９７０年１０月２９日、オランダ生まれ。８９年アヤックス入り。９５年に欧州チャンピオンズリーグとトヨタ杯で優勝した。９９年にユベントス、０１年にフルハム、０５年にマンチェスターＵに移籍。昨季は１３１１分連続無失点の欧州主要リーグ最長記録を樹立。代表では９４年３月のスコットランド戦でＡマッチデビュー。Ｗ杯は９４年大会で代表入りも出場機会なし。９８、０６年大会は全試合に出場。１９７センチ、９３キロ。