【Sawbona! W杯】生き残る老将は誰だ
2009年11月03日
残り4枠を巡り、W杯欧州予選プレーオフが14、18日に行われる。8カ国中3カ国で、70歳を超える老将がチームを率いている。アイルランドのジョバンニ・トラパットーニ監督(イタリア)70歳231日、ギリシャのオットー・レーハーゲル監督(ドイツ)71歳86日、そしてボスニア・ヘルツェゴビナのミロスラブ・ブラゼビッチ監督(クロアチア)74歳266日(以上11月3日現在)。W杯史上最高齢監督は02年にパラグアイを率いたチェザレ・マルディーニの70歳131日だけに、来年の南アフリカ大会に誰が出ても新記録だ。
キスの魔術師74歳ブラゼビッチ
ボスニア・ヘルツェゴビナを率いるのは、98年W杯でクロアチアを3位に導いた名将ブラゼビッチ監督だ。68年に指導者としてスタートを切り、丸40年が過ぎた。長いキャリアでつかんだ確信がある。「私の成功の秘訣(ひけつ)はチームのまとまりにある。いいムードがなければ、何も成し遂げることなんてできやしないさ」。そういう老将は、選手同士にある行為を求める。それは「キス」だ。
ブラゼビッチ監督 私は2人の選手を連れ出し、彼らにこう言うんだよ。さあ彼を愛しみろ。キスするんだ。キスだ。私は彼らに直接、口と口を触れあってキスすることを求めるんだ。
大の男同士にキスを求める監督は、世界広しと言えどもほかに例をみない。それでも人生経験豊富な同監督は、冗談でなく、大まじめだ。
プレーオフの相手は、前回大会4位の強豪ポルトガル。スーパースターのC・ロナウドを擁するチーム相手に、金星となるか。同監督は「ポルトガルがこの対戦に勝つ可能性が高いと思うよ。でも、下馬評の高いチームが勝者とならないこともよく知られている」と話した。そして民族紛争にほんろうされた国家の歴史を踏まえ「小さな国で貧しさにあえぐが、プライドにかけて出場権を取るよ」と誓う。勝利の先には、74歳老将の熱い口づけが待っている。
速攻の魔術師71歳レーハーゲル
ギリシャのレーハーゲル監督が自身初のW杯出場へ、ラストチャンスに挑む。01年に代表監督に就任し、9年目。来年の本大会まで契約を延長し、ドイツ人ながら同国史上2番目の長期政権となった。04年の欧州選手権で伏兵ギリシャを初優勝に導き、欧州中を驚かせた。決勝トーナメント3試合はすべて1-0の勝利だったように、守備を固めてカウンターに出る戦術で大物食いを得意とする。
プレーオフではウクライナと戦う。同監督は「南ア行きのチケットは五分五分。ウクライナは難しい相手だが、チャンスは十分ある」とほくそ笑んだ。前回予選で同組となり、1分け1敗と屈し、W杯出場を逃した。今回は借りを返す絶好の機会だ。ウクライナの大黒柱は、前回と変わらずシェフチェンコ。攻撃力を前面に押し出すチームだけに、持ち前の堅守速攻を生かせそうな状況にある。
04年のミラクル優勝で、ギリシャ神話「神の子ヘラクレス」をもじり、「レーハークレス」の愛称で呼ばれる。オーストリアの歌手DJ ウッチが「Tanz den Rehakles(踊れ、レーハークレス)」のCDシングル曲をリリースし、ドイツ国内ではシングルチャートで最高37位を記録した。老将の「ラストダンス」が、ギリシャをW杯に導けるのか。
指笛の魔術師70歳トラパットーニ
アイルランドを率いるイタリア人の指揮官は、年を取っても意気軒高だ。南アフリカ行きをかけ、前回準優勝の強豪フランスと戦うことになったが、まったく臆(おく)することがなかった。
トラパットーニ監督 この戦いはまるで決勝戦だ。我々は予選グループを2位ながら通過した。しかも欧州で5カ国しかない、無敗チームの1つだった(4勝6分け)。世界王者のイタリアにも負けなかった。これは自分たちに大きな自信を与えてくれている。
02年W杯日韓大会では、母国イタリアを率いた名将だ。監督歴は36年。ユベントスで84-85年の欧州王者に輝き、トヨタ杯も制して世界一の称号もつかんだ。少年時代に羊飼いの友人から習った指笛を高らかに鳴らし、ピッチで選手を呼ぶ姿が有名。バイエルン、ベンフィカなど国外クラブでも指揮を執り、アイルランドの監督に就任したのは、69歳だった昨年のことだ。
器用なタイプではない。外国語を習得するのが苦手で、バイエルン時代のドイツ語は片言。英語も完ぺきでなく「イタリア的英語」を勝手につくり、地元記者を困らせる。また、母国イタリア語を話しても文法の間違いが多く、自ら格言まで作り出す始末。母国イタリアのメディアでさえ「何が言いたかったのか」と内容を確認することがある。
予選グループ無敗が示す通り、イタリア伝統の守備戦術をベースに粘り強いチームづくりが持ち味だ。敬虔(けいけん)なカトリック教徒で、勝負どころとなるとスーツのポケットから聖水の入った小瓶をそっと取り出し、握りしめる。
最近になって12年まで契約を更新し、「若い選手たちとともに、この先も成長できる」と喜んだ。根っからの勝負師で「例えイタリアを破っても、自分が裏切り者だなんて思わない。友人とトランプをしても勝とうとするのは当然のこと。とにかく私はプレーオフを恐れていない」。70歳で次々と新たな挑戦に向かう指揮官には、あふれんばかりの情熱がある。(波平千種通信員)
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