Sawbona（こんにちは）南アフリカ

【南アフリカNOW】人間の尊厳を認める温かさと懐の深さ

2009年10月20日

　８月ベルリンで開催された世界陸上女子８００メートルで、南アフリカのキャスター・セメンヤ選手が金メダルを獲得した。セメンヤ選手は過去にもたびたび性別疑惑をかけられたが、精神的に屈することなく、見事に世界の頂点に立った。

　性別疑惑浮上後、南ア政府はすぐさま彼女を守る姿勢を示した。南アはアパルトヘイト（人種隔離政策）撤廃後、９７年に新憲法が発効。冒頭に「平等、人権、自由」をうたい、人種差別、性差別を否定する。０６年に南ア議会は同性婚を認める法律もアフリカ大陸で初めて可決した。

　ケープタウンでは２月にゲイパレードが開催され、同性愛者が数百人参加。市民も一緒にイベントを楽しんだ。ヨハネスブルクではゲイ・カップルに遭遇することも珍しくない。男性３人と女性１人の「２カップル」で休日の旅行に出かける知人もおり、当の女性は「安全で楽しい」と言う。

　両性具有種という特殊ケースであろうと、セメンヤの家族が語るように「神がつくった人間」だ。人間の尊厳を認める温かさと、懐の深さが南アにはある。（エリス・マシャカ通信員）