Sawbona（こんにちは）南アフリカ

【南アフリカNOW】白人を襲う「負の遺産」

2009年8月12日

　白人の友人プリシラが、ニュージーランドに永住するためにヨハネスブルクを去った。彼女は去年の春、初めて出産。国外への移住を決めたのは、治安の悪いこの街では安心して子育てができないと判断したからだった。

　南アでは国家事業の１つとして、白人の主要言語「アフリカーンス」で命名された地名が、黒人の現地語表記に変わりつつある。まだ一般化されてないが、首都プレトリアは「ツワネ」に改名され、標識の一部も変更された。アパルトヘイト（人種隔離）政策時代には、夕方になると白人警官が棒を手に黒人を居住区に追いこんだ。そして黒人の姿が消えると、白人の親は子供を外で遊ばせた。

　ヨハネスブルクの治安が深刻な問題となったのは、アパルトヘイトの撤廃後。多くの白人はアパルトヘイト下の方が快適な生活を送れたと言う。プリシラのように、国外への移住を決める白人は少なくない。地名が黒人言語に改称されゆくことは、もはや白人の住む所ではなくなってきているともいえる。しかし、この国はもともと黒人たちの土地だった。白人が入植し、負の遺産を残した結果、今がある。（エリス・マシャカ通信員）