【Sawbona! W杯】ニッカン夏季講習・英語
2009年8月06日
ニッカン夏季講習1時限目・英語
8月は5回にわたり、「ニッカン夏期講習」をお届けします。来年のW杯に向け、さまざまな分野からサッカーの魅力に迫ります。第1回は「英語」です。来年の開催国・南アフリカの公用語の1つが英語。そこで、英国育ちで、イングランド代表FWウェイン・ルーニー(23=マンチェスターU)のスカウス(リバプールなまり)もお任せの日刊スポーツ春日洋平通信員が、楽しくタメになるサッカー英語を紙面授業します。独特な表現の裏にはサッカーの歴史あり。さあ1時限目の始まり、始まり~。
みなさん、こんにちは。今回講師を務めさせていただく、英国通信員の春日です。今日は来年の南アフリカのW杯をより楽しく、おもしろく観戦するために、さまざまな「サッカー英語(football lingo=通語)」についてご紹介しましょう。
例えば、06年ドイツ大会決勝でフランスMFジダンがイタリアDFマテラッツィに「頭突き」を食らわせたことは、まだ記憶に新しいところでしょう。06年7月11日付の日刊スポーツ1面には「ジダン爆発」の大見出しが躍りました。日本語では「我を失った」とストレートに表現されましたが、英語ではとてもおもしろい言い回しがされています。ご意見番として、英BBC放送の番組に出演していた元イングランド代表のエースFWアラン・シアラー氏は、そこで次のようなコメントを残しました。
He`s obviously lost his marbles.
直訳すると「彼がおはじきをなくしたのは明白だ」になります。「おはじきをなくす」という表現は、もともと1800年後半から1900年初期に生まれたもので、「勝負に負けて、おはじきを取られた子供のように怒り狂う」という意味で使われたようです。現在では「lose one`s marbles(直訳=誰々がおはじきをなくす)」は「正気を失う」という意味で用いられています。
「神に愛された男」とまで呼ばれたジダンが、「おはじきを取られた子どものように怒り狂った」と想像するだけで、あらためてW杯決勝という特別な舞台の緊張感が伝わってきますね。では、サッカー観戦によく使われる例文を6つ用意しましたので、みなさん一緒に、Let’s study football lingo!
◆レッスン1 Stay on your feet!=(スライディングで)飛び込むな!
直訳すれば「立っていろ」ですが、サッカーではスライディングで「飛び込むな」という意味。英国ではプレミアから草サッカーまで、毎週末になると何千人もの監督がこの言葉を叫んでいますが、誰一人としてこの言いつけを守りません。W杯では英雄マラドーナが飛び込んでくる相手を次々とかわし、ゴールへと向かう姿は圧巻でした。
◆レッスン2 The game ended one―nil=試合は1-0に終わった
サッカーのスコアを語る上で「ゼロ」は必ず「ニル」になります。英国では、他のスポーツで使われることもありますが、サッカーが最も代表的。なぜそうなったのか不明ですが、英語では地域や状況によって数字の0を「ゼロ」、「オー」、「ニル」と使い分けます。ワン・ニルと言えば、W杯では守備の強いイタリアの勝ち方ですね。
◆レッスン3 Man on!=1人ついてるぞ!
チームメートに対して、相手選手の接近を知らせる掛け声。選手同士だけでなく、サポーターもスタンドやピッチサイドから「Man on!(マノン)」と叫んで、選手を援護している光景をよく見かけます。これも「12番目の選手」としてスタジアムでは重要な役割なのです。選手と一体化して戦う、という意味でもスタンドから大きな声で叫んでみてはいかがでしょうか。
◆レッスン4 He rises like a salmon to head the ball=彼は頭で合わせるためにサケのように飛び上がった
さすがはスモークサーモンの国です。サーモン(サケ)は産卵時期を迎えると懸命に川を上り、障害を乗り越える時に驚くべきジャンプ力を見せる。「サケのように飛び上がる」の表現はヘディングの高さを称賛する褒め言葉。驚異的なジャンプ力と言えば、C・ロナウドでしょう。打点の高いヘディングは武器です。
◆レッスン5 He can thread a ball through the eye of a needle=彼は針の穴にもパスを通すことができる
「Eye of a needle」は直訳なら「針の目」ですが、これは「針の穴」を指しています。「Thread」は名詞なら「糸」ですが、動詞の場合は「糸を通す、突き通す」と訳せます。「超正確なパスが出せる」という意味の決まり文句で、日本代表で言えば中村俊でしょう。
◆レッスン6 What a great nutmeg!=なんて素晴らしいまた抜きだ!
「ナツメグ」は香辛料の名前ですが、ビクトリア王朝時代から「屈辱的なわなにはまる」という意味でも使われています。当時ナツメグはあまりに高価だったため、容量を増やすために木材を混入する詐欺が相次ぎました。「(誰々が)ナツメグされた」と活用されるようになり、サッカーでも相手に屈辱を与える「また抜き」は「ナツメグ」となりました。
◆春日洋平(かすが・ようへい) 1978年(昭53)1月6日、兵庫県尼崎市生まれ。10歳の時に渡英し、英国に暮らして21年。当時イングランド3部だったレクサムの下部組織でFWとしてプレー。オーウェンとの対戦経験あり。01年から日刊スポーツ通信員。
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