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【Sawbona! W杯】川淵キャプテンの「夢」-3

2009年7月22日

前任2人の中間

 厳しい規律でがんじがらめしたトルシエ時代と、個人の自覚に任せた自由なジーコ時代。両極端の指導を経て、06年7月、日本代表はイビチャ・オシム氏を新監督に迎えた。

 川淵C オシムになり、考えながら走るサッカーになった。いくつもの色のビブスを選手に着せ、ボール持ったらある色の選手にしかパスができないという練習をした。先を考えてやらないとうまくいかないということが練習の中で自然にできるようになるやり方だった。そういう意味で1歩進んでいる。ちょうどトルシエとジーコの真ん中。日本に一番フィットしていた形かな。

選手は世界レベルに

 オシム氏が病に倒れた後、岡田監督が指揮を引き継いだ。緊急事態にオシム氏の後を担えるのは岡田監督しかいないという確信があり、交渉が難航すれば自ら説得に出馬する準備もあった。

 川淵C 私が代表監督に必要だと考える条件は、説得力と選手の信頼を得ること。選手としては海外で通用する選手が出てきた。次は世界と渡り合える日本の指導者をつくることが大きな目標だ。岡田は経験を積み、Jリーグで優勝して、カリスマ性が出てきた。頭がいいし、選手に自分の考えを伝える表現力も極めて高い。

海外1勝への戦術は

 その期待に応えて予選を突破した岡田ジャパンは10年大会での海外開催W杯初勝利を目指す。

 川淵C 日本が海外でのW杯で初勝利を挙げるために、相手を上回る運動量とピンポイントで合わせるシュートは必須条件。欧州を見ても、カウンター攻撃で4人ぐらいの選手が70メートルをダッシュしてゴール前に行っている。それを何回やれるかが勝負なんだよ。カウンター攻撃で点を取るという目的をはっきりさせて選手に動機づけをすれば、1試合に30回はやるぐらいの体力は半年でつけられる。試合終盤になって50メートル、60メートルガンガン行ければ相手も参るよ。それにふわっとしたクロスじゃあ相手に読まれてしまう。背の高い選手がいる訳じゃないんだから、シュート性の強い球に一点で合わせないと点は取れない。そういう日本の強みを高めていかないと勝てない。岡田監督自身が十分認識して、どう選手に理解させていくか。それがこれからの勝負だね。(取材・構成=井上真、来田岳彦)


 ◆川淵三郎(かわぶち・さぶろう)1936年(昭11)12月3日、大阪・高石市生まれ。早大から古河電工に入社し、64年の東京五輪に出場、72年に現役を引退した。古河電工、日本代表監督を歴任。一時サッカーから離れたが、88年にJSL総務主事と日本協会理事に復帰し、プロ化へ手腕を発揮。91年にJリーグ初代チェアマンに就任。02年には日本協会会長となり3期6年務めた。08年7月から同協会名誉会長。現在、日本サッカーミュージアム館長も兼務。


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