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【Sawbona! W杯】元主将井原氏の「主将論」-3

2009年7月14日

3敗でも充実感

 岡田監督は「1勝1分け1敗で決勝トーナメント進出」を目標に掲げた。しかしアルゼンチン、クロアチア、ジャマイカと対戦し、3戦全敗で1次リーグで敗退した。やっとアジアの壁を打ち破ったが、今度は世界の壁にはね返された。しかし、初の夢舞台で味わったものは挫折ではなかった。3戦を終えて残ったものは、充実感だった。

 井原氏 岡田さんが「1勝1分け1敗」と言ったのは新聞報道で知ったけれど、選手には「全部勝つぞ」と言っていたし、選手も全部勝つつもりで、試合に臨んだ。僕は記憶力のある方で、過去の試合を局面局面で覚えているけれど、不思議とW杯は3戦ともあまり記憶にない。試合中に自分がどんな指示を出し、どんな流れだったのかをあまり覚えてない。後で映像を見て「あ、そうだったんだ」と思うくらいで、夢を見たような感覚。夢心地で3戦を戦ったんですかね。勝ち点1も取れなかったけど、初めてのW杯で、日本は自分たちが持っていた最高のパフォーマンスを出せたと思う。それまでやってきたものを、自信を持って表現できたし、それがあったから今がある。当然悔しさはありますよ。でも日本のサッカーを世界へ1歩踏み出させたという自負はあります。

 第2次岡田ジャパンではおもにDF中沢がゲームキャプテンを務めているが、岡田監督はいまだ、明確には主将を定めていない。南アフリカ大会まであと11カ月。主将は誰にすればいいのか? 日本はどんな準備をすべきか?

 井原氏 まだ主将が定まってないけど、僕はそういうもんだと思う。W杯になると、みんなが責任を持ってキャプテンのつもりでピッチに立つし、最大限の努力をする。今の代表には中沢、俊輔らW杯を経験した選手が多い。しかも中沢も俊輔も戦術的にも軸となる選手で、プレー中はキャプテンマーク関係なく、チームを引っ張っている。これは我々の時の、何事も初体験というものとは大きく違う。フランスの時は本大会7カ月前に出場を決めたから、準備期間が少なく、強化試合数も少なかった。でも今回は世界最速で決めている。準備期間も1年ある。強豪との練習試合で経験を積めば、好成績を残せると信じています。(取材・構成=盧載鎭)


 ◆井原正巳(いはら・まさみ)1967年(昭42)9月18日、滋賀県水口町(現甲賀市)生まれ。守山高、筑波大を経て、90年に日産自動車(現横浜)に加入。DF、守備的MFとして同チームの黄金時代を築いた。00年磐田に移籍。翌年には浦和に移籍し、02年シーズン限りで引退した。日本代表には大学生時代から選ばれ、98年W杯フランス大会に出場。国際Aマッチ通算122試合は歴代最多。北京五輪コーチを経て今季から柏ヘッドコーチ。現役時代のサイズは182センチ、74キロ。家族は夫人と長男。血液型0。


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