日刊スポーツの南アフリカW杯特集ページです。

  • 日刊スポーツIDについて


ここからこのサイトのナビゲーションです



【Sawbona! W杯】トルシエは「現実」を見る-1

2009年7月07日

 来年6月の開幕まであと1年足らず、日本がW杯南アフリカ大会に向けて本格的に動きだした。今日から毎週火曜日付でお届けする「Sawbona(サウボーナ)! World Cup」。7月は日本代表のW杯にかかわりの深い人たちに聞く。第1回は元日本代表監督のフィリップ・トルシエ氏(54)。フィジカルの弱さと経験のなさを指摘しながらも「驚きを2回起こすことは可能」と、岡田ジャパンのベスト8入りに期待を寄せた。


今の力を客観的に分析すると4強は不可能と言わざるを得ない


 ―日本の最終予選の戦いぶりはどう評価しますか?

 W杯出場の目的は達成された。ホームで1勝しかできなかったのは、重要なことではない。確かに守備を固める相手に有効な攻撃はできなかったが、アウェーで効率よく勝ち点を獲得した。カウンター能力にたけていたからだ。相手がスペースを与えてくれないホームではプレーしにくく、アウェーではカウンターを仕掛けやすい。予選からいえるのは、そういうことだ。


 ―岡田監督については、どう思いますか?

 課せられた使命の第1段階で、これ以上ない仕事をした。冷静で、パニックに陥ることもなかった。ベテランを軸にチームを構築しながら、若手をテストして成長させた。長友や内田、岡崎らが育った。日本は今回もまた、世界で最初に予選を突破した。4大会連続出場は、日本にとって素晴らしいニュースだ。


 ―日本のスタイル(小さなスペースを使ってショートパスで攻める)は?

 岡田監督は日本人の特質をよく知り、それを生かすスタイルをとった。日本人は俊敏だ。テクニックに優れ、パスをよく回す。長友や田中、大久保や松井といった小さな選手たちが、スピードあふれるテクニックを披露する。ただし、日本は計算のできるチームではない。相手を破壊する術も知らない。運動能力の高い選手がいないから、アグレッシブなスタイルを取ることはできない。岡田監督はそうした日本人の特質を、見事に利用している。日本人には欧州スタイルのプレーはできない。エンジンも車体も小さいからだ。


 ―ゴール前でも、そうした日本独自のプレーを追求すべきということですか?

 日本は予選でアウェーの強さを発揮した。W杯も、自分たちのプレーをする機会は得られないだろう。つまり本大会でも、状況はアウェーに似てくる。日本はスピードを生かしたカウンターを仕掛けるとき、本当の意味で危険になる。本大会でもその状況と、日本の特質とを生かすべきだ。


 ―1年間でどういう準備をすればいいですか?

 理想は10数人の選手が欧州でプレーすることだ。内田や長友、田中、岡崎の若手に、ベテランの遠藤や闘莉王、中沢らも欧州に行けば、劇的に強くなる。だが現実はそうではない。だからこそ、コレクティブ(組織的)に問題を解決すべきだ。そのためには、選手個人の経験のためにテストマッチを組むことだ。


 ―あなたは(01年11月の)イタリア戦でマシンは出来たと宣言しましたが、その後の選手のケガや病気で準備は支障をきたしました。ジーコは1年前のコンフェデ杯で良かったけれど、本大会は惨敗でした。そういう意味でも、これからの準備は難しいのでは?

 私は壮大な実験室を実践してきた。ラボで最高の選手たちを探し、イタリア戦の後で実験室は終わったと宣言した。ただ、ジーコは少し違う。というのも彼のチームの80%は、私の時代の選手だったからだ。私はマシンを作ったが、ジーコはマシンをコントロールするだけだった。岡田監督はその両方。彼のチームは実態は14、5人の選手しかいないから、さらに選手を探さなければならない。これから半年は、視察を重ねて新しい選手をテストするだろう。ただし、それは12月までで、そこからは25人のグループを固め、チームを強固にしていくべきだ。


 ◆フィリップ・トルシエ 1955年3月21日、パリ生まれ。現役時代はDFとしてプレー。83年に指導者に転身し、コートジボワール、ナイジェリア、ブルキナファソ代表監督を歴任し、98年W杯に南アフリカ代表監督として出場。98年9月、日本代表監督に就任した。U-20日本代表でワールドユース準優勝、シドニー五輪ベスト8、02年W杯日韓大会ではベスト16入りした。その後カタール、モロッコ代表監督を経て、昨年からはJFLのFC琉球総監督も務めている。


このニュースには全0件の日記があります。


ソーシャルブックマークへ投稿

  • ツイッター
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • はてなブックマークに追加
  • Buzzurlにブックマーク
  • livedoorクリップに投稿

ソーシャルブックマークとは


ニッカンスタジアムへのご参加はこちらから

[受付終了]Q33 オランダvsスペインの勝敗は?

解答期限
[07/12 03:30]

海外代表ニュース

記事バックナンバー

日本代表ニュース

記事バックナンバー

A組
南アフリカ
メキシコ
ウルグアイ
フランス
E組
オランダ
デンマーク
日本
カメルーン
B組
アルゼンチン
ナイジェリア
韓国
ギリシャ
F組
イタリア
パラグアイ
ニュージーランド
スロバキア
C組
イングランド
米国
アルジェリア
スロベニア
G組
ブラジル
北朝鮮
コートジボワール
ポルトガル
D組
ドイツ
オーストラリア
セルビア
ガーナ
H組
スペイン
スイス
ホンジュラス
チリ









大会データ 得点ランキング、日本代表全成績、W杯ヒストリー、歴代得点王&MVPなど



  1. ニッカンスポーツ・コムホーム
  2. 南アフリカW杯
  3. コラム
  4. Sawbona(こんにちは)南アフリカ

データ提供

(株)日刊編集センター/InfostradaSports

ここからフッターナビゲーションです