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【Sawbona! W杯】日本代表新春インタビュー:岡崎慎司

2010年1月06日

自分は3点は取らないといけない

 ついにW杯イヤーに突入し、本大会まで残り5カ月と迫った。1月は日本代表メンバーがW杯への思いを熱く語る。1回目はFW岡崎慎司(23=清水)。昨年1月20日のイエメン戦で代表戦初出場初ゴールを決め、6月6日のW杯アジア最終予選ウズベキスタン戦で日本を4大会連続W杯出場出場に導く決勝点を挙げた。南アフリカ大会に合わせたかのように、頭角を現した「サムライストライカー」が、年男として迎えた今年、さらなる飛躍を誓った。【取材、構成・為田聡史】

09年16戦15発

 日本が入ったグループEは、オランダ、デンマーク、カメルーンと強豪が顔をそろえる。率直な質問を岡崎にぶつけた。W杯で日本は勝てるのか。すると、迷うことなく即答した。

 岡崎 「勝てるか、勝てないかじゃない。勝たないといけない。そのために本大会までの5カ月間が重要になる。どこも強豪だとは思うけど、最高の準備をしていけば勝てる自信はある」。

 昨年の日本代表では2戦連続ハットトリックを含む16戦で15発を量産。チーム最多得点をマークした。一気にエースとしての座を手に入れた。

 岡崎 「人に合わせて動きだすのではなく、自分から動きだすということが明確になった。最初はパスがあまりこなかったけど、(ゴールを)決めたことによって信頼が得られるようになったと思う」。

 W杯アジア最終予選のウズベキスタン戦では左足のシュートからリバウンドをヘッドで押し込み、岡崎らしい泥くさいゴールが決勝点となり、4大会連続のW杯出場を決めた。

 岡崎 「やっぱり、あのゴールが去年のベストゴールですね。15ゴールを決めたけど、心の底から喜べるのは、ウズベキスタン戦のゴールだけ。ほかのゴールは自分にとっては価値があったけど、世間やチームメートに与える影響は少なかった。自分にもプレッシャーをかけていたし、あの試合で(ゴールを)決められたのは1つ成長できたところだと思う。あそこから試合に出続けられるようになったし、自分にとっての分岐点でもあったと思う」。

 アジアでの第1関門は突破した。W杯で待ち構える強豪相手にどうやってゴールを奪うのか。すでに、岡崎のイメージは明確になりつつある。そして、そこには点取り屋としての発想が凝縮されていた。

 岡崎 「相手のスキを狙う。自分から目を離したすきに相手の逆を突く。強豪国だと反応も早いし、ちょっとやそっとじゃスキはつけないが、何回も繰り返せばスキは出てくる。相手がボールを見た瞬間に自分が消えるという動きを心がけている。あとは、トラップからのシュートの精度を上げていくこと。そのためには練習しかない。いかに詰めていくかだと思う。

蘭戦に手応え

 今となればW杯前哨戦だった、昨年9月のオランダ遠征でオランダに0-3の完敗を喫した。厳しい結果を突きつけられたが、90分間フル出場した岡崎には手応えの方が強かった。

 岡崎 「正直、すごい強かったというより、結構やれたというのが自分の中にはあった。相手が高いレベルでも、長いランニングをすれば抜けられるというのはあったし、プレッシャーをかければミスも生まれる。積極的にゴールを狙わないといけないというのはあるけど、守備をしっかりしてから攻撃に移れれば勝負になる。自分にもチャンスはあったし、先制点を決められていれば状況は一転したと思う」。

 ダイビングヘッド-。岡崎には自らのゴールの形を持っているという強みがある。昨年は日本代表戦15得点のうち5得点、リーグ戦の全14得点のうち8得点がヘディングでの得点だった。それは岡崎のこだわりでもある。

 岡崎 「単純に足より頭が先に出る。相手より早いタイミングで(ボールに)触れることができるし、ボールがどこに飛んでいくか分かる。足を出す動作よりも頭の方が僕にとっては早い。常に言葉にも出しているし、こだわりもある。エスパルスでクロスからの攻撃パターンがあったからこそ、ここまで成長できた。でもW杯で通用するものにするためには、もっと磨きをかけないといけない」。

 09年の大活躍で日本代表エースと呼ばれるようになった。W杯でも日本中からの注目と期待はますます、高まっていく。

 岡崎 「自分ではエースとは思っていない。でもエースというプレッシャーを感じることは、成長していくためにはいいことかもしれない。ほかの選手よりも上回っているわけではないので、常に初心、初心でうまくなりたいという気持ちを出してやっていくしかない」。

 岡崎が初めて世界を経験したのは08年夏の北京五輪だった。3戦全敗の屈辱を繰り返さないためにも、自らに言い聞かせるように、W杯へ向け、具体的な数字をあえて挙げた。

 岡崎 「最終メンバーに当確しているとは思っていないけど、出るつもりで練習や試合に臨んでいかないと(北京)五輪みたいになる。チームが掲げるベスト4を達成するためには、自分は3点は取りたいし、取らないといけない」。

 ◆岡崎慎司(おかざき・しんじ)1986年(昭61)4月16日、兵庫県生まれ。滝川二高では全国選手権に3年連続出場し、2年でベスト4。05年に清水入りし、同12月の広島戦でJデビュー。08年8月の北京五輪に出場し、同10月9日の親善試合UAE戦でA代表デビュー。09年Jリーグベストイレブン。A代表通算20試合15得点。J通算90試合29得点。173センチ、70キロ。家族は夫人と1男。


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