日本のＥ組ライバル分析・デンマーク - Sawbona（こんにちは）南アフリカ : nikkansports.com

【Sawbona! W杯】日本のＥ組ライバル分析・デンマーク

2009年12月20日

高齢化デンマーク希望の光は21歳ゴシップ王

　日本と戦うＥ組のライバル紹介、第２弾。今回は２大会ぶり４度目の出場となるデンマークを紹介する。０２年の日韓大会で優勝候補フランスを破って１６強入り。当時主力だったＦＷトマソン、ＭＦロンメダール、ＭＦヨルゲンセンが今も残る。しかし、来年６月の本大会を考えれば、３０歳を超えた攻撃トリオに一抹の不安は隠せない。そんな中、国の期待を背負うのが、１トップに入るアーセナルの２１歳ＦＷニクラス・ベントナーだ。身長１９３センチのサイズもビッグなら、その私生活も「規格外」。日本にはやっかいな敵となりそうだ。（春日洋平通信員）

　デンマークは欧州予選１組でＣ・ロナウドのいるポルトガル、イブラヒモビッチのいるスウェーデンを抑え、首位通過した。その原動力となったのがＦＷベントナーだ。圧巻は９月５日のポルトガル戦。前半４３分、左サイドからのロングクロスに、体を当ててマークにきた相手ＤＦを逆にはじき倒し、大きくジャンプしての胸トラップ。次の選手にタックルされる前に、ハーフバウンドのボールを右足ボレーでたたき込んだ。

　１９３センチ、８３キロの大柄ながら技術、スピードに優れ、激しいマークも物ともしない。予選９試合に出場し３ゴール。得点だけでなく、前線で攻撃の起点役も担う。現代表はトマソン、ロンメダール、ヨルゲンセンら経験豊かな選手がそろう半面、選手の高齢化が不安視される。それだけに先月、史上最年少の２１歳でデンマーク年間最優秀選手に輝いた若者は希望の光だ。

　そんなピッチの大物は、私生活でも「規格外」ぶりを見せつける。酒に酔って英タブロイド紙に黒のブリーフ姿をさらけ出したのを皮切りに、９月には交通事故で愛車を大破させて話題となった。そして極めつきは、デンマーク王室の「バツイチ女性」とのロマンスだ。相手は１３歳上の３４歳、キャロリーン・ブロックドルフ女男爵。豪華な城に暮らし、英エリザベス女王の遠縁にあたる資産家と慰謝料４億ポンド（約６００億円）で離婚したばかり。２年前にテレビ番組で知り合い、最近になって熱愛に発展したという。ロンドンのハイドパークで、ベントナーが彼女の子供とサッカーを楽しむ姿も目撃されている。

　アーセナルでは３トップのウイングとして起用されるが、デンマーク代表では１トップとして君臨する。２列目にトマソンらベテラントリオを従えての堂々とした姿は、デンマーク王国の期待を一身に背負う「若き君主」の姿にほかならない。怖いもの知らずの若者は「僕には目標がある。来年のＷ杯で得点王になること、そして５年以内に地球上で最高のストライカーになることだ」と息まく。

　初出場の８６年Ｗ杯で、破壊力抜群のＦＷエルケーア、ラウドルップを軸に優勝候補の西ドイツを破るなどし、「ダニッシュ・ダイナマイト」と恐れられた。０２年大会では将軍ジダンの率いる王者フランスも破り、世界を驚かせた。その再現を狙うチームにあってベントナーが躍進のカギを握ることは間違いない。日本を熟知する名将ベンゲル監督をして「アーセナルのサッカーを変えてくれる選手」と言わしめる大男が、日本の大敵となりそうだ。

　◆ニクラス・ベントナー　１９８８年１月１６日、コペンハーゲン生まれ。ＦＣコペンハーゲンのユースから０４年にアーセナル入り。０６年にバーミンガムにレンタル移籍し、０７－０８年からアーセナル復帰。昨季リーグ３１試合９得点で、今季は９試合１得点。１０月下旬から股（こ）関節の負傷で離脱中。国際Ａマッチ３１試合１０得点。１９３センチ、８３キロ。

ＤＦにも「光」20歳キアル

　高齢化が進むデンマークで、ベントナーとともに期待される若手がパレルモのＤＦキアルだ。２０歳の若さながら、６月に代表デビューするとセンターバックの定位置を確保。１８９センチの長身を生かした空中戦を得意とし、足もとの技術も高い。今季セリエＡでも２得点を記録（昨季は３得点）しており、８６年Ｗ杯で「世界最高のリベロ」と称された、オルセン監督の申し子ともいえる存在だ。

　来年１月の移籍市場の、注目男の１人で、マンチェスターＵが獲得に乗り出すという情報も浮上。バイエルン、チェルシー、リバプール、ユベントスも興味を示しており、争奪戦は激化する一方だ。移籍金は２０億円が相場だが、パレルモのザンパーニ会長は「キアルはそう簡単に手渡さない」。Ｗ杯の活躍で、さらなる価格高騰を期待しているようだ。