南アフリカW杯
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敗戦マラドーナ監督退任へ／準々決勝

＜Ｗ杯：ドイツ４－０アルゼンチン＞◇準々決勝◇３日◇グリーンポイント

　アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ監督（４９）が、退任の意向を示した。準々決勝ドイツ戦に惨敗。あまりのショックに、周囲に抱えられるようにして現れた試合後の会見場で、監督の座を降りる考えをほのめかした。１次リーグ３戦全勝で、監督としての評価が高まっていた最中。波瀾（はらん）万丈のスターらしい、Ｗ杯からの去り際になった。

　にぎりしめた銀のロザリオに、願いは通じなかった。４失点惨敗の笛に、マラドーナ監督は左手で顔を覆った。「人生５０年で最もつらい出来事。ムハマド・アリのパンチを食らったようだ」。９４年Ｗ杯では薬物問題で大会から追放。その後もアルコール依存症などで生死の境をさまよった男にとっても、この日の「悲劇」は格別だった。

　何とかロッカールームに引き揚げたが、あまりの衝撃で動けなくなった。敗者が先に行う監督会見の時間が迫り、ＦＩＦＡ広報担当が呼び出しに来たが、応じられない。やむなくドイツのレーウ監督が、先に会見を行う異例の事態に。勝った指揮官をたたえる報道陣の拍手がやんだ後、周囲に抱えられるようにして、ようやく会見場に現れた。

　「もう何をする力も残ってない。明日にも退任するかも。誰が監督を引き継ぐにしても、サッカーは続く。選手やスタッフには感謝したい」。伏し目がちで話す様子は、まるで退任会見のようだった。

　監督生活は、さながら波瀾万丈の人生の縮図だった。監督経験の少なさから、Ｗ杯予選では大苦戦。解任要求も強まり、メッシら主力選手との不仲説も浮上した。だが本大会に入ると、１次リーグ３戦全勝の好成績で、一転手腕が評価された。しかしこの日の惨敗で、再びどん底に。会見でも記者から容赦なく「情けなくないの？」と問いかけられた。この瞬間、悲しみのマラドーナ監督が野獣に戻った。

　マラドーナ監督　冗談言うな！　アルゼンチン人はサッカーを酸素代わりに吸って生きているようなもんだ！　負けてハッピーなやつなんていねえ！

　［2010年7月5日9時44分　紙面から］