南アフリカW杯
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脚本主演マラドーナ監督開幕２連勝／Ｂ組

: 試合に勝利しマラドーナ監督はデミチェリスに抱きついて喜ぶ

＜Ｗ杯：アルゼンチン４－１韓国＞◇１次リーグＢ組◇１７日◇サッカーシティー

　ディエゴ・マラドーナ監督（４９）率いるアルゼンチンが、ＦＷリオネル・メッシ（２２＝バルセロナ）の活躍と、ＦＷゴンサロ・イグアイン（２２＝Ｒマドリード）の今大会第１号ハットトリックで韓国を圧倒した。開幕２連勝で、２４年ぶり３度目の優勝へ力強く前進。南米予選の不振などで、采配や指導力が不安視された同監督が、最も似合うＷ杯の舞台で再び輝きを増してきた。２２日の１次リーグ最終戦で、ギリシャに３点差以上つけられて負けない限り、１次リーグ突破となる。

　マラドーナ監督は、努めて冷静に話した。「我々が準備してきた内容、ミーティングがすべてうまくいった。落ち着いて試合を見ることができたよ」。それでも、こみ上げる喜びは抑えきれない。初戦の後のようにリンゴこそ手にしていなかったが、試合前に選手を抱きしめる様子を問われると「オレが好きなのは女性だけさ」と、おどけた。

　試合中も主役だった。派手なアクションで選手を鼓舞し、大声で指示した。ボールが飛んでくると、左足で華麗なテクニックさえ披露。試合後にはピッチに飛び出し、また選手１人１人と抱き合った。選手が嫌がるのも構わずに白いものが交じったヒゲを押しつけて喜びを表した。「こっちがミスしなきゃ、韓国には１つもチャンスはなかった」と言い放った。

　パフォーマンスだけではない。南米予選では迷走した采配も、大会に入ってからはピタリと当たる。スタメン起用したイグアインがハットトリックすれば、交代出場させたＦＷアグエロも追加点に絡んだ。「ナイジェリア戦に比べて内容がよかった。決定力もあった」と満足そうに話した。

　大会前は指導力が不安視され「優勝候補の唯一の弱点」とまで言われた。０８年１０月の就任以来、南米予選で大苦戦。何とか４位で出場権を獲得したが、選手から「戦術がない」と批判され、国民の８割から解任を求められた。「言いたいやつは言わせておけ」と強がったが、本番を前にして不安はあったはずだ。

　自らがＷ杯で優勝した８６年メキシコ大会のチームを目指した。「メッシは特別な存在だ」と公言し、メッシ中心のチームをつくり上げた。韓国戦前日１６日の会見では「韓国との決定的な違いは、メッシがいるかいないか」とまで話し、その通りにメッシの活躍で快勝した。

　今大会初戦の相手は、禁止薬物使用で追放された９４年大会の最後の相手だったナイジェリア。２戦目は優勝した８６年大会初戦で対戦して激しい守備に悩まされた韓国。現役時代の因縁を次々と打ち破って、マラドーナ監督は勝ち上がる。「やっぱり、Ｗ杯は最高だ」。良くも悪くもＷ杯という大会が最高に似合う。

　［2010年6月18日9時26分　紙面から］