南アフリカW杯
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カメルーン敗戦に中津江「残念～」

　残念～！　０２年Ｗ杯でキャンプ地となった縁からカメルーン代表を地域ぐるみで応援する日田市中津江村（大分）では、約１００人が集まったパブリックビューイング（ＰＶ）が行われ、攻撃し切れずに日本に敗れた試合結果に大きなため息がもれた。カメルーン人はこの日東京から訪れたカメルーン大使館の参事官ら４人。本田のＷ杯初ゴールで勝てたのに、しかも日本国内なのに、サムライブルーを着込んだサポーターにとっては、やや肩身の狭い不思議なＰＶだった。

　試合終了とともに集まった約１００人が静かに拍手をして、互いをたたえ合った。カメルーン代表を応援する中津江村にとっては、２大会ぶりに出場したＷ杯初戦が０－１となる悲しい結果となった。それでも中津江村のカメルーンサポーターは「選手は両チームとも一生懸命にプレーしたよ」と小さな拍手が少しずつ大きくなっていった。

　村内唯一の娯楽施設「地底博物館」のある道の駅でＰＶが行われ、砂金採り場となる屋内施設内に横約５メートル、縦約３・５メートルの画面が設置された。試合が動いたのは前半３９分。本田の先制ゴールが入ると、会場の日本人が「ウォー」と歓声を上げた直後に、すぐに口をつぐんで遠慮がちに着席した。対照的に４人のカメルーン人は「うまいシュートだった」と拍手をして称賛した。

　当初は屋外ビューイングとして企画したが、激しい雨が大地をたたき、やむなく屋内ＰＶに切り替えた。

　別府市からは立命館アジア太平洋大学留学生のテレンス・ベニエラさん（２９）、メラニン・ヨタジさん（３２）が駆けつけ、声援を送った。２人とも０９年９月に来日した大学院１年生。「日本語はまだ全然しゃべれないけど、日本の人と一緒に応援できるのは素晴らしいことだ」とソングのユニホームを着込んだベニエラさんは喜んだ。ヨタジさんも試合が始まる前に地元の子どもたちとカメルーン国旗を振りながら盛り上がり「中津江の子どもも応援してくれてうれしいわ」と笑顔を見せた。

　試合の１時間半前、１２日に日本を出発し、南アフリカまでカメルーン応援に飛んだ中津江村最後の村長の坂本休さん（７９）から電話が入った。「こっちは寒くないですよ。集まってくれた皆さんに頑張って応援してくださいと伝えてください」との内容。最後までカメルーン側での応援を狙った坂本さんだったが、やはり日本側に配置された。それでも「周りの日本人の方々が『村長はカメルーンの応援をしてもいいからね』と優しくしてもらいました」と元気な声で報告してきたという。

　在日カメルーン大使館のピエー・ンゼンガ大使の代理レーモンド・カムガ２等参事官は、初めて訪れた中津江村に「東京からはちょっと遠いけどナイスな場所だ。４年前に来日する前から中津江村のことは知っていた。試合は負けたが、中津江村の皆さんと観戦できて興奮したよ」と最後は村民らと肩を組んで和やかに解散した。【寺沢卓】

　［2010年6月15日9時23分　紙面から］