南アフリカW杯
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ドログバ、骨折手術驚異の回復強行出場も

　右腕を骨折しているコートジボワール（Ｇ組）ＦＷディディエ・ドログバ（３２）が、１５日のＷ杯初戦のポルトガル戦に強行出場する可能性が高まった。ドログバは１０日のチーム練習に、軽量の脱着式ギプスを着けて復帰した。４日の日本戦でＤＦ闘莉王と接触して負傷し、同日にスイスの病院で修復手術を受けたばかり。驚異の回復力だ。

　チームに欠かせない中心選手の動きを見たエリクソン監督も即決した。「試合が今日や明日なら彼はプレーしない。だが、試合までまだ数日ある。彼はポルトガルと戦うことになるだろう」と発言。負傷直後には本人も「Ｗ杯は終わった」と欠場を覚悟したほどだったが、状況は１８０度転回した。

　Ｗ杯後の選手キャリアを考えれば、休むことが良策。だが、ドログバには無理をしてでも出場しなければならない理由があった。「母国の期待がとんでもなく高いんだ。フランスやイングランド以上だ」と言う。現代表は、ドログバ以外にもＤＦコロとＭＦヤヤのトゥーレ兄弟、ＦＷカルーら欧州のビッグクラブの中心選手がそろう「黄金世代」。国民は２度目のＷ杯での躍進を夢見ている。ドログバは「我々の仲間はクラブで大きなタイトルを取っている。だが、代表チームでは何も達成できていない」と話した。

　もう１つ大きな理由がある。０９年３月に同国アビジャンで行われたＷ杯アフリカ最終予選マラウイ戦で観客がもみ合う事故が起き、２２人が死亡する惨事となった。ドログバは「代表のユニホームを着てピッチに立つたび、亡くなった人々のことを思い出す。彼らは我々がＷ杯の舞台に立つのを楽しみにしていたはずだから…」。天国のサポーターのためにも、リスクを負ってポルトガル戦のピッチに立つつもりだ。

　［2010年6月12日9時17分　紙面から］