南アフリカW杯
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お騒がせマラドーナ監督ＡＫＢ式先発起用

　Ｗ杯の主役はやっぱりこの男！　アルゼンチン（Ｂ組）のディエゴ・マラドーナ監督（４９）が１２日、大会初戦となるナイジェリア戦に臨む。今大会を占う大事な試合にもかかわらず、国民の人気投票をもとにＦＷカルロス・テベス（２６＝マンチェスターＣ）の先発起用を決定。まさかの「ＡＫＢ４８方式」采配に、疑問の声もあがる中、本人は自信満々で優勝を狙う。一方で史上最高のお騒がせ男に英ブックメーカーも注目。個人では大会最多となる、８項目で賭けが成立することになった。

　先発選びの根拠は、ＡＫＢ選抜総選挙ならぬ「ＡＲＧ先発総選挙」だった。マラドーナ監督は１０日の練習後、アルゼンチンのテレビ局の単独取材に応じ、ナイジェリア戦の選手起用プランの一端を明かした。「テベスは外せないだろう」。先発を明言されたのは、大会ＭＶＰ候補の絶対的エースＦＷメッシではなく、何とテベスの方だった。

　確かにテベスは大舞台を前に、リーグ戦終了後のお約束だった暴飲暴食、酒池肉林を封印。大嫌いな野菜中心の食生活で、肉体を絞り込んだ。モチベーションの高さと好コンディションを、監督はきちんと評価したのか－。そんな取材クルーの予想をよそに「神の子」はまるでお告げのように、淡々と理由を話した。

　マラドーナ監督　テベスは国民のアイドルだからな。私やメッシよりも人気があると、どこかで（新聞の記事を）読んだし。

　驚きの説明に、居合わせた協会スタッフも脱力した。テベスが５月にアルゼンチン国内で行われた人気投票で、メッシらスターを抑え、堂々１位に選ばれたのは事実。だがその結果をもとに先発を選ぼうとは、誰にも予想がつかなかった。

　しかしマラドーナ本人は、あくまで自信たっぷり。同日にはわざわざアルゼンチンから、愛娘ジャンニーナさんとＦＷアグエロとの間に生まれた、ベンハミンちゃん（１）を呼び寄せた。Ｗ杯を勝ち取る勇姿を、かわいい初孫に見せつける気満々なのだ。

　メッシ、イグアイン、アグエロに加え、欧州ＣＬ決勝で２得点のミリトも加えたＦＷ陣は、世界最強と言っていい。だがその半面、誰を使っても波風が立つ危険性があった。誰もが頭を悩ませるであろう起用法問題だが、マラドーナ監督は「ＡＫＢ方式」であっさりと解決した。名将か、はたまた迷将か。いずれにしても、マラドーナの一挙手一投足から目が離せない。

　［2010年6月12日8時32分　紙面から］