南アフリカW杯
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英雄の批判に激怒エトーがボイコット示唆

　【クラーゲンフルト（オーストリア）２９日＝菅家大輔】逆風の岡田ジャパンに追い風！？　Ｗ杯開幕前に、カメルーン代表ＦＷサミュエル・エトー（２９＝インテル）が、Ｗ杯ボイコットを示唆する異常事態となった。同代表ＯＢのロジェ・ミラ氏の批判に激怒したためで、現在チームに同行しておらず、２９日のスロバキア戦も欠場した。

　エトーはフランスのテレビ局カナル・プリュスに「Ｗ杯に行くことが私にとって価値があることなのか。私はこの数日、それについて考える」と話した。発端はＷ杯でも活躍したミラ氏の「エトーはクラブには栄冠をもたらすが、代表で何もしていない」という批評。この発言に世界屈指の点取り屋のプライドが傷ついた。祖国の英雄に対し「私はアフリカ選手権で２度得点王になった。００年シドニー五輪優勝はカウントしなくても、私はアフリカ史上最も優秀なＦＷだ。それに比べてミラは何もしていない」と猛反発した。

　Ｗ杯前のトラブルはアフリカ勢の「専売特許」。カメルーンは０２年Ｗ杯直前にも出場ボーナスをめぐり、選手がボイコット騒動を起こした。ただ、今回は実績十分の英雄同士のケンカだけに、「恒例」の騒動で終わるか微妙。この日のカメルーンはスロバキアに後半３８分、ＭＦエノーの得点で同点に追いついたが、得点力不足は明らか。ベスト布陣の守備陣も相変わらず裏への対応が悪く、不安定さを露呈。エトー不在となれば、日本にも勝機は十分ある。

　カメルーンのＷ杯前の残る親善試合は、６月１日のポルトガル戦（ポルトガル・コビリャン）、同５日のセルビア戦（セルビア・ベオグラード）の２試合。現在パリに滞在中のエトーはポルトガル戦までにチームに合流予定というが「私の選手生活にとってＷ杯は絶対に必要なものではない」と話している。ルグエン監督は試合後「これからなんとかする。大会までの２週間で問題は解決するだろう」と平静を装ったが、エースの動向は不透明なままだ。

　［2010年5月30日8時20分　紙面から］