サルコジ大統領「アンリの仏の手」謝罪
フランスFWティエリ・アンリ(32)の「神の手」ゴールが波紋を広げた。18日のW杯欧州予選プレーオフ、フランス-アイルランド戦から一夜明けた19日、ブリュッセルで行われた欧州連合(EU)の臨時首脳会議に出席したサルコジ大統領(54)は、アイルランドのカウエン首相に、アンリの「神の手」について謝罪したと明かした。その一方で、アイルランド協会が要求した再試合は、受け入れられないとする考えを示した。しかし、カウエン首相は「サルコジ大統領と話し合う」と表明。国際サッカー連盟(FIFA)は再試合の実施を否定したが、「外交問題」に発展しかねない禍根を残した。
フランスのトップが疑惑のゴールを謝罪した。EUの臨時首脳会議に出席したサルコジ大統領は自ら、カウエン首相におわびの言葉をかけたと明かした。
サルコジ大統領 私がどれだけ申し訳なく思っているか、カウエン首相に伝えた。ただし私は審判でも、フランスサッカー協会でも、欧州連盟でもない。私の立場を分かってほしい。
18日の試合当日は競技場に足を運び、代表チームに声援を送った。もちろん延長戦で飛び出した疑惑のゴールも見届けた。一夜明け、アイルランド協会(FAI)が緊急会見を開き、国際サッカー連盟(FIFA)に再試合を要求。事態が大きくなったことを受け、自ら騒動の収束に動いた。
対するカウエン首相は「サルコジはフェアプレー精神に反する行為を受けたアイルランド国民に、とても同情的だった」と話した。その一方で「今後24時間以内にフランス協会から再試合の提案があれば、FIFAも動くだろう」というFAIの声明を支持すると表明。「個人レベルでサルコジと話し合うつもりだ」と言い切った。
98年W杯優勝メンバーのプティ氏が「恥ずかしいのひとこと。近年、目標を達成するには手段を選ばない風潮が強くなってきた」と言えば、代表OBのジノラ氏も「世界中があのハンドを目撃した。非常に恥ずかしい」と話した。それでもフランス協会は「アイルランドには申し訳ないが再試合はまったく検討していない」とし、サルコジ大統領も「気の毒だが(再戦の)要望には応じられない」との姿勢を明確にした。
FIFAは20日になって「試合の結果は変わらず、再戦は行わない。競技規則に記載されているように、試合中の主審の判定が最終的なもの」と、アイルランド人の怒りの火に油を注ぐような回答を公表した。W杯本大会出場によるフランス国内の経済効果は最大10億ポンド(約1540億円)、アイルランドが被る経済打撃は1億ポンド(約154億円)と言われる。アンリの「禁じ手」が及ぼす影響は、サッカーの枠を完全に超えてしまった。(春日洋平通信員)
[2009年11月21日8時22分 紙面から]
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