マラドーナ監督が感涙ダイブ/W杯予選
<W杯南米予選:アルゼンチン2-1ペルー>◇10日◇アルゼンチン・ブエノスアイレス
ディエゴ・マラドーナ監督(48)率いるアルゼンチンがペルーに2-1と競り勝ち、連敗を3で止めて本大会出場圏内の4位に浮上した。ロスタイムの後半45分に同点とされたが、3分後にFWマルティン・パレルモ(35=ボカ・ジュニアーズ)が決勝弾。歓喜のマラドーナ監督は豪雨のピッチにダイブし、人目もはばからずに号泣した。W杯切符をかけて14日の最終節で5位ウルグアイと対戦する。
波乱(はらん)万丈の人生そのまま、劇的な結末だった。風雨が強まり、嵐となった終盤。後半45分にアルゼンチンは1点リードを守りきれず、同点ゴールを許した。マラドーナ監督はベンチ前で豪雨に打たれ、うなだれた。その3分後、CKを起点に相手ゴールを攻め立て、最後はパレルモが左足でゴール。2-1。最後の最後で、神は見捨てていなかった。
まだ試合中にもかかわらず、マラドーナ監督は勢いよく水浸しのピッチに向けてダイビングヘッド。ジャージーのズボンをおしりに食い込ませ、感情を爆発させた。試合終了直後には、チーム全員がピッチに飛び出し、まるでW杯に優勝したかのようなお祭り騒ぎだ。マラドーナ監督はパレルモに抱きつき、そして人目もはばからずに号泣した。重圧から解放され、「神の子」も人の子だった。
マラドーナ監督 ドラマチックな試合で、最後に勝利をつかんだ。絶望のふちでサン・パレルモ(聖人パレルモ)の奇跡が起きた。彼は我々に新たな道を切り開き、命を与えてくれた。
メッシらスター選手をそろえながら「戦術がない」「選手任せ」と批判され、予選3連敗。チームはプレーオフ圏の5位に転落した。解任の声が高まる中、ペルー戦を前に「神はこれまで何度も私を救ってくれた。今回もそうあってほしい」と発言。「この期に及んで神頼みか」と周囲の失笑を買った。マラドーナ監督の歓喜のダイブを見た、解説者で元代表チームメートのアルディレス氏は「アルゼンチン代表の監督というものは、すさまじいプレッシャーの中で戦っている。現在の状況を考えれば、まったく不思議な行動ではない。気持ちは理解できる」と擁護した。
4位に浮上したとはいえ、最終節で5位ウルグアイとアウェーで直接対決が残る。テベス、アグエロをベンチに残し、35歳のパレルモを起用しての勝ち点3。世界屈指の「勘ピューター」采配に、同監督は自らの命運をかける。「この試合に我々は命をかける」。数々の修羅場をくぐり抜けてきた男が、「決死の覚悟」でW杯出場を誓った。(エリーザ大塚通信員)
[2009年10月12日8時40分 紙面から]
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