南アフリカW杯
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ブラジルが19大会連続Ｗ杯／Ｗ杯予選

: 大きなジェスチャーで指示を出すブラジルのドゥンガ監督。（ＡＰ）

＜Ｗ杯南米予選：ブラジル３－１アルゼンチン＞◇５日◇アルゼンチン・ロサリオ

　ブラジルがアルゼンチンを３－１と下し、第１回大会から１９大会連続のＷ杯出場を決めた。前半２４分にＤＦルイゾン（２８＝ベンフィカ）のゴールで先制し、ＦＷルイス・ファビアーノ（２８＝セビリア）が２点を追加。ドゥンガ監督の「機能美」のサッカーが、マラドーナ監督の「タレント重視」のサッカーを攻略した。

　「戦い」の終わりを告げるホイッスルに、険しかったカカの表情がようやくほころんだ。先制点のルイゾンが、主将のルシオが、宿敵アルゼンチンからの勝利を喜んだ。勝ち点を３０に伸ばし、３試合を残して４位以内を確保。永遠のライバル相手にＷ杯出場を決めた。選手、スタッフ、ドゥンガ監督も加わり、ピッチ上で輪をつくった。肩を組み、歓喜の歌声を上げ、笑顔で跳びはねた。

　ドゥンガイズムの表れだった。１点差とされた直後の後半２３分。メッシのドリブルを中盤で素早くカットすると、カカが前線のスペースへ長いスルーパスを通した。走り込んだルイス・ファビアーノは、飛び出してきた相手ＧＫをかわすようにループシュート。勝負の行方を決定付ける１点に、敵地の会場は沈黙した。アルゼンチンの攻撃をしっかり受け止め、そこから鋭く返す「横綱相撲」を披露した。

　ドゥンガ監督は「メッシのいる偉大なチーム相手に、すばらしいゲームをしてくれた。とてもタフな試合だったが、選手たちは集中してやってくれた」と胸を張った。過去のブラジルらしい華はない。ロナウジーニョ、ジエゴら技巧派を外し「堅守速攻」が持ち味。技術にスピード、パワーを兼ね備える現代版司令塔カカを軸に、組織的な「機能美」を見せつける。この日もメッシ、テベスら個人技で打開しようとしたアルゼンチンを、自分たちの戦術にはめ込んでみせた。

　カカは「すばらしい日になった。アルゼンチン相手に敵地でＷ杯の出場権を手にするなんて、さらに我々の価値を高めた」と喜んだ。意地と意地のぶつかり合った大一番。ユニホームをつかまれながらも、果敢にドリブルで仕掛けた。前半２０分には小競り合いになり、主審への異議からイエローカードも食らった。

　これでブラジルの連続不敗記録は１７試合に伸びた。「守備的でつまらない」と批判されたドゥンガサッカーだが、もはや雑音は何も聞こえてこない。「若いが非常に成熟したチームだ」。因縁のマラドーナ監督率いるアルゼンチンを下し、ドゥンガ監督は誇らしげだった。（エリーザ大塚通信員）

　［2009年9月7日8時21分　紙面から］