南アフリカW杯
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Ｗ杯アフリカ予選で観客が19人圧死

: ゴールを挙げて手を広げて喜ぶコートジボワールのドログバ（ＡＰ）

　コートジボワールのアビジャンで２９日（日本時間３０日）行われたＷ杯アフリカ最終予選のコートジボワール－マラウイ戦で、１９人が死亡する事故が起きた。試合開始直前、観客がもみ合うなどして転倒。同国政府のタグロ内相は国営テレビを通じ、少なくとも１９人が死亡、１３２人が負傷したと発表した。アフリカではスタジアム事故が後を絶たず、危機感を募らせた国際サッカー連盟（ＦＩＦＡ）はコートジボワール側に事故調査書の提出を要求した。試合は予定通り行われ、コートジボワールが５－０でマラウイに大勝した。

　コートジボワール独立の父「フェリックス・ウフェボワニ」の名前を継承する由緒ある競技場で、惨事は起きた。試合開始４０分前、入り口付近にいた観客がスタンドになだれ込んだ。その圧力に耐えられず、壁の一部が崩落し、周辺にいた群衆はパニックに陥った。逃げまどう観客同士が押し合いとなり、少なくとも１９人が圧死。１３２人が重軽傷を負ったという。

　事故の経緯について、スポーツ省バンジオ大臣は「試合時間が迫り、チケットを持たないファンがメーンゲートからなだれ込み、多くのファンが踏みつけられた」と説明した。英ＢＢＣ放送によると、崩壊した壁付近は改築工事が行われたばかりで、老朽化の問題ではないという。また、警察の催涙ガス使用が混乱を招いたとの情報もあり、調査は慎重に進められている。

　死傷者１５０人を超す惨事にもかかわらず、試合は予定通り行われた。ほかの大陸なら考えられない行動だが、関係者は「多くの人々が観戦を楽しみに来ている。中止にすれば、かえって暴動を広げるだけ」と話し、苦渋の選択だったようだ。試合は地元コートジボワールがＦＷドログバの２得点などでマラウイに５－０と大勝し、２大会連続の本戦出場に前進した。

　ＦＩＦＡは一夜明けた３０日、ブラッター会長が哀悼の意を示し、コートジボワール側に事故調査書の提出を求めた。同国のソロ首相は緊急の閣僚会議を開き、対応策を協議。アフリカでは０１年にガーナで死者１２０人の圧死事故が起きたのをはじめ、近年スタジアムでの暴動や事故が目立っている。アフリカ全体のイメージを損なう事故に、来年にＷ杯開催を控える南ア大会組織委員長のジョーダン氏は「チケットを持たないファンは会場の１キロ以内には入れない」と話した。

　［2009年3月31日8時41分　紙面から］