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俊輔が新人宣言「ただ純粋に楽しく没頭」

: チームに合流した中村は仲間とともにサーキットトレーニングをこなす

　Ｗ杯日本代表の横浜ＭＦ中村俊輔（３２）が「新人宣言」した。７日、横浜市内でのチーム練習に帰国後初合流。Ｗ杯では出場機会に恵まれず、代表からの引退を明言し、今後の動向が注目されていた。久しぶりにピッチに立った中村は「新人のころのように楽しくサッカーに没頭したい」と話し、「ぶつかったことのない壁」と表現する今回の経験を、原点回帰で乗り越える決意を明かした。

　中村にとってチーム練習参加は約２カ月ぶりだった。午前はフィジカルメニュー、午後はボールを使ったゲーム形式の練習などで汗を流した。終始淡々とした表情だったが、胸中にはある決意が秘められていた。練習後、取材陣の問いかけに言葉は少なかった。それでも少しだけ吹っ切れた表情で言った。「ただ純粋に新人のころのように楽しくサッカーに没頭したい」。

　引退発言が飛び出したのは６月２９日のパラグアイ戦後。その影響は想像以上に大きかった。横浜の木村和司監督（５１）からは「目指している選手も多い。自分から『引退』と口にしない方がいい」とアドバイスされた。この日も取材陣が殺到した。１７日からリーグ戦が再開する。「周りが騒々しいからそれだけでも集中するのが難しい。活躍しなきゃ、どうにかしなきゃと思うと難しい」。解決策として選んだ結論が「原点回帰」だった。

　これまでのサッカー人生で、さまざまな挫折を味わってきたが、今回の苦い経験を「今までぶつかったことのないほどの壁」と表現する。中学時代、横浜マリノスのジュニアユースからユースに昇格できなかった。０２年Ｗ杯日韓大会では直前にメンバーから外された。海外移籍先で不遇を味わった時期もある。今回はそのどれをも上回るという。

　今後の起用について木村監督は「（状態が）良くなければ試合に出られないかも知れない」と実績は関係ないことを強調した。原点に返る中村はこれを前向きに受け止めるしかない。この日、練習場と隣接する人工芝グラウンドで幼い子供たちが練習していた。中村は横を走り抜ける際、子供たちの手にタッチした。同監督は「あいつはもともとサッカー小僧。試合や練習を積み重ねていくうちに元気になる」と話した。【松田秀彦】

　［2010年7月8日8時54分　紙面から］