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長友セリエＡチェゼーナ週明けにも決定

: パラグアイ戦でサンタクルスを封じた長友（撮影・ＰＮＰ）

　東京の日本代表ＤＦ長友佑都（２３）が、今季からセリエＡに昇格するチェゼーナに移籍することが７日、決定的になった。同クラブのフィッカデンティ監督が、獲得が秒読み状態であることを明かした。クラブと代理人の詰めの交渉を経て、週明けにも加入が正式決定する見込み。豊富な運動量で、岡田ジャパンのＷ杯１６強進出の原動力になったサイドバックが、満を持して欧州に進出する。

　日本が誇るサイドバックの進路が、ついに決まった。チェゼーナのフィッカデンティ監督は７日、日刊スポーツの単独取材に応じ「クラブには長友を獲得してもらう予定。まだ正式に合意はしていないが、数日中には移籍が決まると聞いている」とコメント。長友の加入決定が、秒読み段階にあることを明かした。

　逆風にも、評価は変わらなかった。イタリア協会はＷ杯でイタリアが１次リーグで敗退した直後の７月２日に、イタリア人のプレー機会を増やすため、外国人枠を従来の２枠から１クラブ１枠にする新ルールを、各クラブに突然通達した。大半のクラブは代表クラスの有力ブラジル人にのみ、枠を割くことになるとみられる。早くからセリエＡを移籍先候補の１つにしていた長友だが、ＥＵ（欧州連合）外の日本からイタリアに移籍することは、非常に難しくなってしまった。

　しかし、フィッカデンティ監督は、テレビのサッカーゲーム上でも、日本人を重用したチームをつくるほど、日本サッカーを熟知している。すでに日本を訪れて多くの選手を視察しており「直接見た中で、長友に一番ひかれた。両サイドバックを務められるし、運動量もあって、技術が高い。商業面を抜きにして、我々は彼の実力を必要としている」と自信を持って獲得リスト最上位に据えた。

　長友はＷ杯でもカメルーン代表ＦＷエトーらを粘り強いマークで抑えつつ、攻撃にも加わる大活躍をみせた。指揮官だけでなく、チェゼーナ首脳陣も長友を高く評価している。外国人枠ルール変更通達以降も、長友サイドにラブコールを送り続けた。長友はバーミンガムなどプレミアからも魅力的なオファーを受けたが、最終的にはチェゼーナの熱意を重視し、イタリア移籍を決意した。

　今後は条件面などについての詰めの交渉が残っている。だが東京は欧州でのプレーを夢見る長友を気持ちよく送り出す「親心」を見せている。チェゼーナと長友は相思相愛だけに、正式合意までに障害はほとんどない。フィッカデンティ監督が明かすように、週末には渡欧中のロベルト佃代理人とクラブの間で最終交渉が行われ、週明けには「チェゼーナＤＦ長友」が誕生する見込みだ。

　長友はＷ杯から帰国後、在京キー局すべてに出演するほどメディアから引っ張りだこ。軽妙なトークで全国区の人気を得た。だが好感を呼ぶ笑顔の奥で、気持ちはすでにイタリアへと飛んでいる。出演番組すべてで「ＦＣ東京をよろしく」と連呼するなど、欧州移籍へ背中を押してくれたクラブへの恩返しも欠かさない。あとは世界最高峰の舞台で活躍することで、恩返しを完結させる。

　［2010年7月8日8時42分　紙面から］