南アフリカW杯
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駒野号泣ＰＫ失敗クロスバーが阻む／日本

: 試合後、スタッフに慰められる駒野（撮影・ＰＮＰ）

＜Ｗ杯：パラグアイ０（５ＰＫ３）０日本＞◇決勝トーナメント１回戦◇２９日◇ロフタス・バースフェルド

　ＤＦ駒野友一（２８＝磐田）が泣いた。松井に肩を抱えられながら、人目をはばからず、２人で号泣した。日本サッカーが初めて経験するＷ杯でのＰＫ。パラグアイ３人が成功した後、遠藤、長谷部に次いで３人目のキッカーとして、相手ＧＫと対峙（たいじ）した。ボールをペナルティースポットに置いて、ゆっくりと、助走を取った。力強く蹴ったボールは勢いよくゴールに向かった。だが、「ジャブラニ」は無情にもクロスバーをたたき、得点にはいたらなかった。

　所属する磐田では２年連続リーグ戦フル出場の駒野だが、度重なるケガを乗り越えてつかんだＷ杯だった。０３年に、左ひざを負傷し手術を余儀なくされた。その直後にはエコノミー症候群を患った。０４年のアテネ五輪ガーナ戦では、左鎖骨骨折。同年９月にはブドウ膜炎で失明の危機に陥った。大けがのたびに「サッカーができなくなる恐怖を感じていた」という。今大会は大会前からコンディション不良の内田、練習試合で負傷の今野に代わり、右サイドバックを献身的に守ってきた。

　攻撃的なサイドバックが目立つ中で、駒野は「まずは守備」という考えがある。「最終ラインである以上、自分たちがゴールに近い。目の前の選手に抜かれないことが一番大事になる」という。一方で、攻撃の意識も忘れない。今大会も時折、攻撃参加から鋭いクロスをゴール前に送った。ＰＫを外し、涙にくれる駒野は、その姿を通じ、岡田ジャパンの結束をも表現した。「泣くな駒野」。試合後、チームメートから次々と声をかけられ、なぐさめられた。

　［2010年6月30日12時5分　紙面から］