岡ちゃん秘策はWアンカーシステム/日本
【ダーバン(南アフリカ)=18日】日本代表の岡田武史監督(53)が、ダブルアンカーで、オランダの縦ラインを断ち切る。引き分け以上で、1次リーグ突破に大きく前進する大一番で、相手の得点源を無力化する守備的戦術を選んだ。中盤の底にDF今野泰幸(27)を配置し、MFスナイデルを密着マークさせ、さらにMF長谷部誠(26)にFWファンペルシーへのパスコースを遮断させる。失点を抑え、決勝トーナメント進出に「王手」をかけにいく。
大一番を前にした公式会見で、岡田監督は言い切った。「サッカーは終わったときに勝っていればいい。可能性を信じてチャレンジしていくだけ」。そのための決断は素早かった。カメルーン戦に続き、15年来の親交のあるサッカー関係者に告げたオランダ戦の戦術は、ダブルアンカー・システムだ。基本は遠藤、今野、長谷部のトリプルボランチだが、今野には司令塔スナイデルをマンマークさせ、長谷部にはエースFWファンペルシーへのパスコースを断ち切る任務を与えた。岡田監督が、オランダ戦を前に、相談役でもあるその関係者に伝えた言葉は次の通りだ。
岡田監督 オランダはロッベンがいるし、サイド攻撃が目立つけれど、生命線はスナイデルとファンペルシーの縦ラインだ。そこをやられると、大量失点する恐れもある。スナイデルに前を向かせないことと、ファンペルシーにパスを入れさせないことが、勝負のカギだ。
岡田監督は、相手のキーマンに対してマンマークを付けることを嫌う。今大会直前にはその関係者に「スナイデルにマンマークを付けると動かされる。1人でマークすると、ファンペルシーへのパスコースが空いてしまうので、2人の受け渡しにする。2人できっちりマークした方が、相手はイライラするだろう」と伝えていたが、14日のオランダーデンマーク戦を分析し、決戦3日前の16日、方針を変えたようだ。
今大会、本田の1トップにこだわる理由も伝えている。「本田は1トップに入れても、プレースタイル上、自然に下がってくる。(2列目の)大久保と松井は前に行きたがるから、相手は1トップと思っていても、実際には2トップの形になることが多い。場合によっては本田も加わって3トップになるから、相手DFはやりづらい。しかも大久保と松井は最初からFWとして入れるより、2列目に入れた方が、守備の意識を持つから、守りにもプラスになる」。本田を頂点にした4-3-2-1のピラミッド型は、相手はもちろん、味方の特徴や心理状態まで考慮した、同監督自信の力作だった。
勝てば、限りなく決勝トーナメント進出に近づき、引き分けても大きく前進する。不屈のライオンを屈服させた指揮官が、今度は優勝候補の一角をも、絶望のどん底に突き落とす。【盧載鎭】
[2010年6月19日8時29分 紙面から]
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