南アフリカW杯
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今日オランダ戦、本田勝つため守る／日本

: 本田は夕日を浴びながら居残りでＦＫ練習を繰り返す（撮影・鹿野芳博）

　【ダーバン（南アフリカ）＝１８日】守って勝つ！　日本代表のＦＷ本田圭佑（２４＝ＣＳＫＡモスクワ）が「守備重視」で強豪オランダ戦に挑む。同代表は１９日、１次リーグ第２戦でオランダと対戦する。初戦カメルーン戦で決勝弾を決めた本田は、この日の最終調整後に「どれだけ守れるかがキーポイントになる」と発言。守備嫌いの男が初めて、守備の重要性を説いた。優勝候補から大金星を挙げれば、０２年日韓大会以来となる決勝トーナメント進出の可能性がある。日本のエースに上りつめた本田が、優勝候補に守り勝つ。

　本田の口から出てきたのは、意外な言葉だった。ダーバン郊外にあるスラム街に近い練習場で行われたこの日の最終調整後のことだった。オランダ戦について問われると、少し考えた後に、淡々と話し出した。

　本田　オランダは伝統的に攻撃的な国。どれだけ守れるかが、キーポイントになると思います。（Ｗ杯の）どの試合を見ても、先制点を取られた後に逆転するのは難しい。どれだけ守れるか、それが大事です。

　「守る」という言葉を何度も繰り返し、初めて守備重視で臨む姿勢を打ち出した。昨年までは岡田ジャパンの連動性と守備を重視するシステムになじめず、定位置をつかめなかった。所属のＣＳＫＡモスクワでボランチ（守備的ＭＦ）をやらされた際には「監督との戦い」とまで言った。これまでも「守備はしたくない」と公言したこともある。オランダリーグ・ＶＶＶに２年間所属し相手の強さは認識している。だからこそ攻撃の男が、自分を変えて守り勝つ意思表示をした。

　「番狂わせ」を起こせば、５時間後に行われる同組カメルーン対デンマークの結果次第で決勝トーナメント（Ｔ）進出が決まる可能性がある。引き分けでも決勝Ｔへ前進する。Ｗ杯２戦連発にこだわりながらも、場合によっては勝ち点１を奪うことも視野に入れる。

　本田　勝つには点が求められる。引き分けにするにしても守備が求められる。だからしっかり守備をする。ベストを尽くす。準備してやる。それがすべて。

　カメルーン戦後は取材規制が敷かれている影響もあり、報道陣の前では一言も発していなかった。オランダのテレビ局から「本田を取材させてくれ」と依頼があったが断り続けたという。４日ぶりに公の場で発言した本田から出た言葉が「守備重要論」。早朝に合宿地ジョージからチャーター機で移動する際、空港には約５０センチ間隔で銃を持った警官が１００人近くもズラリと並び、上空にはヘリコプターが飛んだ。そんな喧騒（けんそう）の中でも、強豪対策を考えていた。

　まさに試金石になる一戦だ。カメルーン戦で得点はしたが、慣れないＦＷでの能力は未知数。プレミアリーグ担当の南アフリカ駐在スカウトが、１６日に続きこの日も本田を視察し「注目しているが、どれだけの力があるかは分からない」と説明した。夢であるプレミアやスペインへの移籍を勝ち取るには、優勝候補相手にどれだけ力を出すことができるかがカギだ。ＣＳＫＡモスクワでは番狂わせを演じ、欧州チャンピオンズリーグ８強へ導いた。日本にも奇跡を－。持ち味の攻撃だけでなく、守備でも貢献し、本田がまた日本に熱狂をもたらす。【益子浩一】

　［2010年6月19日8時28分　紙面から］