南アフリカW杯
ニュース

オランダも本田「信じればできる｣／日本

: 決勝ゴールを奪った本田は、イレブンの輪に飛び込む（撮影・ＰＩＫＯ）

　【ジョージ（南アフリカ）１５日】オランダ戦も頼むぞ！　日本代表のＦＷ本田圭佑（２４＝ＣＳＫＡモスクワ）が、「史上最大の番狂わせ」の主役になる。日本を勝利に導く決勝ゴールを決めた１４日のＷ杯１次リーグ初戦カメルーン戦から一夜明け、合宿地で第２戦オランダ戦（１９日）に向け再始動。練習場には現れず、先発メンバー１１人とともに宿舎で調整した。世界ランク４位の優勝候補から金星を挙げれば、０２年日韓大会以来の決勝トーナメント進出が決まる可能性がある。オランダリーグ・ＶＶＶで３シーズン過ごし、敵を熟知した本田が、チームをけん引して奇跡に挑む。

　本田が「南アの奇跡」を起こす。カメルーン撃破の余韻に浸っている暇はない。Ｗ杯勝利から一夜明け、既に次のオランダ戦に目を向けた。優勝候補から金星を挙げれば、決勝トーナメント進出が決まる可能性が高い。簡単に勝てる相手ではない。それは、本田自身が一番分かっている。だからこそ、すぐに次戦へと頭を切り替えた。

　本田　こういう舞台でオランダとやるのは何かの縁だと思います。オランダはこんなに甘い相手ではない。カメルーンに勝って、いいスタートを切ったのは確かだけど、ここからが始まり。本当の戦いはこれからなんです。だからあまり（勝利の喜びを）しゃべりたくはありません。

　０８年にオランダ移籍し、２年間プレー。０８－０９年シーズンにはＶＶＶで主将を務め、２部リーグながら年間ＭＶＰに立った。フェイエノールトのＤＦファンブロンクホルストら、相手選手のくせやスタイルは熟知している。１０年の欧州ＣＬ準々決勝・インテル戦では、司令塔スナイデルと対戦。完敗したが、試合後には何度もＤＶＤで試合を分析。スナイデルのパスを出すタイミング、動きだしは研究済みだ。オランダには０５年世界ユース（１●２）０８年北京五輪（０●１）と惜敗。世界最高峰の舞台で雪辱を果たすしかない。

　勝つために自分と向き合い、プレースタイルを変えた。緊急コンバートされた１トップにうまく適応できず悩んだ。だが、カメルーン戦の２日前。知人と電話で話した時に「オレはストライカーにはなれない。オレができることをやろう」と割り切ることができたという。無理に前線で前を向くことを控え、時には下がってボールを受けた。カメルーン戦の決勝弾も中央へ走り込む役割をスピードのある大久保に任せ、自分はファーサイドでこぼれ球を拾うことに専念した結果、生まれたものだった。

　本田　（得点は）嘉人さんが前に行ってくれたおかげ。何事も信じてやればできる。それを証明できた。でも、あくまで１勝にすぎない。（この後）２敗してしまっては意味がない。信じてやれば、なるようになる。

　オランダを撃破すれば、Ｗ杯の歴史に残る史上最大の番狂わせになる。勝てば１次リーグ突破の可能性が高く、引き分けでも大前進する。日本は９６年アトランタ五輪で、ブラジルを１－０で破り「マイアミの奇跡」と呼ばれた。岡田ジャパンにも奇跡を－。本田が中心になって、再び日本に熱狂をもたらす。【益子浩一】

　［2010年6月16日9時0分　紙面から］