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松井&大久保から両翼波状弾だ/練習試合

右サイドから低空クロスを上げる本田(撮影・栗山尚久)
右サイドから低空クロスを上げる本田(撮影・栗山尚久)

<練習試合:日本0-0ジンバブエ>◇10日◇30分×3◇ジョージ

 【ジョージ(南アフリカ)=10日】日本代表が「両翼」から得点を奪いに行く。この日、W杯初戦カメルーン戦(14日)前の最後の練習試合として、現地でジンバブエと対戦(30分×3本)。0-0に終わったが、右サイドに抜てきしたMF松井大輔(29=グルノーブル)と左サイドのMF大久保嘉人(28=神戸)のコンビで決定機を作り出した。初めて1トップに入ったFW本田を「おとり」にして、2列目からゴールを奪う新布陣が完成した。

 静かなグラウンドで、日本の「攻める形」が見えてきた。報道陣や関係者以外は非公開。選手の声と、ボールを蹴る音だけが響き渡った。右から松井、左からは大久保が、次々と矢のようなシュートを放つ。主力組が出場した1本目は無得点(3本計0-0)に終わったが、確かな形はできた。

 いきなり決定機を作ったのは大久保だ。開始2分で駒野の右クロスに合わせて右足シュートを放つ。同9分にも自分で相手ボールを奪ってミドルシュート。その後もゴール前で本田から受けたパスをシュートまで持ち込んだ。30分間で放ったチーム最多5本のシュートは、ほとんどが枠をとらえた。

 大久保 もうオレはやり切った。いつカメルーン戦が来てもいい。もうやることはやったし、ここ最近にはないくらいにキレが出てきた。早くカメルーンとやりたい。明日でもいい。

 右サイドに抜てきされた松井も、17分に右から得意のドリブルで切り込んで左足シュートを打った。同23分にも長谷部との連係で決定機を作り出した。いよいよ目前に迫ってきたカメルーン戦を想定した30分間で、得点のにおいを醸し出したのは大久保&松井の両翼だった。

 松井 周りの人がどう思うかは分からないけれど、自分のコンディションはすごくいい。カウンターとか速い攻めをすれば得点はできる。(大久保と)カメルーン戦を想定したイメージはできた。

 決戦に向け最高の状態に仕上がってきた2人に、日本の勝負の行方が託される。この日、初めて試合で1トップに入った本田は、前を向くことすらできずシュート0本。それでもフィジカルの強い本田を「おとり」にして、両翼から攻め込むことができれば得点が生まれる。ミドルシュートで相手DFをおびき出し、時にはDFの裏に飛び出していく。状況に応じた得点パターンができつつある。

 岡田監督が、エース岡崎や司令塔中村俊らこれまで主力としてきた4人を入れ替えて臨んだ4-3-2-1の本番用布陣。それが両翼の2人の動きで、低迷する日本に希望をともした。岡田監督は「全体的に動きは悪くなかった。(前線の本田、松井、大久保の)3人だけで90分をいけるとは思っていない。総力で点を取ることになると思う」と控えめに話した。

 大久保は「オレは日本のために何でもやる」と言えば、松井も「4年間も(W杯を)待っていた。チャンスが1度しかなくても、それを決めて勝つ」と言い切った。4日コートジボワール戦まで国際Aマッチ4連敗。波に乗れない岡田ジャパンを救うのは「大久保&松井」の両翼しかいない。【益子浩一】

 [2010年6月11日9時2分 紙面から]


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