南アフリカW杯
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闘莉王攻撃は限定10分　岡ちゃん認めた

: 大久保（左）にスライディングタックルする闘莉王（撮影・鹿野芳博）

　日本代表の岡田武史監督（５３）がＤＦ田中マルクス闘莉王（２９＝名古屋）に攻撃参加のお墨付きを与えた。ただし、攻撃参加は１０分。守りを固めてカウンターにすべてをかける岡田監督にとって、闘莉王のオーバーラップは心臓に悪いところだが、気持ちよく守りに専念してもらうため、１０分の限定攻撃参加を認めた。得点がなければカメルーンには勝てない。ムチとあめを使い分ける岡田監督のやりくり戦術は功を奏すか。

　岡田監督が闘莉王に１０分だけの限定攻撃参加を認めた。攻めたい闘莉王と、守りたい岡田監督。ともに勝利を目指すが、その方法論は全くかみ合わない。そこで岡田監督はこう明言した。「試合中はいつも『戻れ、戻れ』と言っているんだけど…。まあ、試合になったらそんなに上がらないと思う。本人も１０分だと割り切っているはずだし」。

　守備に専念してもらいたいのが岡田監督の本心。しかし、闘莉王からすれば、誰かが後ろから攻撃参加しなければ得点力不足は解消できないとの思いがある。５月３０日のイングランド戦、前半１２分。右コーナーキックで遠藤は闘莉王とのアイコンタクトでグラウンダーを送り、そのまま走り込んだ闘莉王は右足でゴール右隅に決めている。

　得点への高い意識と、ゴール感覚は誰もが認める。それだけに、岡田監督もむげに全面禁止とは言えない。そこで１０分だけの限定参加となった。その言葉を聞いた闘莉王は「えっ、初めて聞きました」と、とぼけたが、その顔はにこりと笑っていた。

　たとえ１０分でも、タイミングを見て攻撃参加ができれば、カメルーン守備陣を混乱に陥れることができる。闘莉王にはロングシュートもある。無回転のシュートでＧＫのファンブルを誘うことができれば、得点の可能性はグンと高まる。

　闘莉王　守るだけのサッカーはしたくない。攻撃に厚みがあるくらいにやらないといけない。１回だけのＷ杯かもしれないから悔いを残したくない。相手のカウンターが怖いと言っても、（攻めてくる）相手より守備が１人以上多いわけだから、そんなに怖がらない。

　目指すはイングランド戦パターン。前半で先制し、試合を有利に進めるためにも、貴重な１０分が闘莉王に与えられたことは大きい。【井上真】

　［2010年6月10日9時32分　紙面から］