南アフリカW杯
ニュース

俊輔別メニュー調整　イングランド戦微妙

: 練習前、ボールに座りながら靴ヒモを結ぶ中村俊（撮影・鹿野芳博）

　日本代表の司令塔中村俊輔（３１）が、２６日のスイス合宿スタートから別メニュー調整を余儀なくされた。日本代表選手団は同日、チャーター便でスイス・ジュネーブ国際空港に到着。韓国戦で古傷の左足首を痛めた中村俊は、軽めの調整にとどまった。痛みが引かない場合は、３０日の親善試合イングランド戦出場も微妙となる。６月１４日のカメルーン戦へ向け、日本のエースは、ケガとも戦うことになった。

　チャーター便の中でたっぷり休んだ中村俊の表情はすっきりしていた。到着ロビーでは地元在住の日本人ファンからサインを求められても、気さくに応じ周囲にゆとりを与えるような振る舞いを見せた。先乗りした報道陣を見つけても、笑顔で話しかけ、悪化した左足首の状態を感じさせるようなそぶりは見せなかった。

　韓国戦では、中村俊自身も記憶がないほどの悪い出来だった。運動量が少ない、得意のパスも通らない。最後までコンディションが上がることはなかった。体調面の不安の理由ははっきりしていた。左足首の状況が一向に上向かない。そこで、韓国戦直後の注射を決断した。

　中村俊　前にも打ったことはあるけど…、痛み止めじゃないよ。関節の中がスムーズに行くような注射。詳しいことはドクターに聞いて。それで２、３日様子を見て、良くなっていればいいし、もし痛みが引かないようならまた軽くテーピングをしてやるしかないね。

　代表チームに帯同している清水ドクターはこう説明した。「痛みを止める注射じゃなく、炎症を抑えるためです。様子を見て、その後の措置を決めますが、そう短期間でもう１度打つことは、できればしたくない。今は彼の足首はどう回復するかしっかり経過を待ちたい」。

　韓国戦の翌日は試合直後とあってクールダウンに努めた。ザースフェーに入ったこの日から、チームは体をほぐして長距離移動の疲れを取りつつ、徐々に負荷をかけていく。その中で中村俊はあえて別メニューを選択し、足首の状況と相談しながら調整を続ける方針。岡田監督も中村俊の判断を尊重している。

　中村俊　まあね、もう割り切ってね。体を休めることもしないと。今日は、ランニングくらいはするよ。

　本当は少しでも動かして、ボールタッチの感覚や、体のキレをチェックしたいところ。３０日のイングランド戦で、韓国戦の汚名を返上したい。しかし、すべては１４日のカメルーン戦のため。注射を繰り返すことはできない。今は炎症がどれくらい治まるかを待つしかない。はやる気持ちと焦る思いを押し殺し、ひたすら今まで何度もチームを救ってきた左足の回復を待つのみだ。

　［2010年5月27日9時8分　紙面から］