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森本「点取れれば何でもいい」移籍も視野

: イタリアから帰国した森本（撮影・玅見朱実）

　日本代表ＦＷ森本貴幸（２２＝カターニャ）が、ゴールへのこだわりを口にした。森本は１８日、全日程を終えたセリエＡのイタリアから帰国。成田空港で「ＦＷなんで点取りたい」という言葉を繰り返した。今季所属するカターニャで出場機会が激減したことから移籍も視野に入れるため、各国クラブにアピールするＷ杯でのゴールは重要。岡田監督の求める前線からの守備を理解しながらも「点が取れれば何でもいい」とまで言い放った。

　森本の口からは「得点」「ゴール」という言葉が次々と飛び出した。わずか１０分程度に１０回以上。「ＦＷなんで点取って」「出たら点取りたい」とゴールにこだわった。岡田監督に評価された点や、代表での役割を聞かれ「点取れれば何でもいい」とまで言った。

　「自分の持ち味を出す」「自分のプレーをする」というのも、すべてゴールのことだ。タイプの違う日本代表ＦＷの中でも、典型的な点取り屋。抜群の位置どりと相手ＤＦの裏に飛び出す速さ、屈強な相手に負けない強さなど、セリエＡでの経験で「精神的にも強くなった」と胸を張った。

　もちろん、ＦＷにも守備を求める代表チームのコンセプトは分かっている。岡田監督は「ハエがたかるようにチャレンジする」と説明しているが、森本は「それ（ハエの群れ）に加わって」と受け入れながら「点を取りたい」と明言。ハエになっても、ゴールを狙う気持ちは持ち続ける。

　ゴールへのこだわりには理由がある。今季、途中加入したＦＷマキシ・ロペスの活躍で、定位置を奪われた。最終の３試合は出場さえなし。「自分としては最初から出たい」と移籍も視野に入れている。イタリアの４年間で、ＦＷの評価がゴールにしかないことは分かっている。だからこそ、移籍先を見つけるためにゴールが必要。「いろいろなところ（クラブ）が見てると思うので」と、Ｗ杯でのアピールを口にした。

　ゴールへの執着心は、子供のころからだ。０９年６月に帰国した森本は古巣東京Ｖジュニアユースの練習に参加、練習ゲームでゴールを量産した。中学生時代の森本を指導した大嶋康二コーチ（３３）は「中学生相手に本気になって得点する。少しも遊ばず、常に全力でゴールだけを狙う。ゴールしか見えず、得点しか考えないところがモリらしいし、変わらない」と話した。

　試合から遠ざかっていることでコンディションも心配されるが「問題ない。あと１カ月、マックスで行けるようにする」と言った。欧州で経験を積んで、初めて迎えるＷ杯にも緊張はない。「チームのために点を取る」。森本の頭には、Ｗ杯でのゴールしかない。【荻島弘一】

　［2010年5月19日9時35分　紙面から］