南アフリカW杯
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俊輔ノーモア・ドイツ戦う集団へ統率志願

: Ｗ杯の公式ボールを、高々と投げ、気勢を上げる中村俊（右）と中沢

　日本サッカー協会は１０日、Ｗ杯南アフリカ大会（６月１１日開幕）に臨む代表メンバー２３選手を発表した。２大会連続Ｗ杯代表に選出されたＭＦ中村俊輔（３１＝横浜）が、チームを「闘う集団」に変える“統率役”を志願した。この日、横浜・日産スタジアムで会見。チームがまとまらずに惨敗した前回ドイツ大会の反省を踏まえ、ピッチ内外で潤滑油になってチームをけん引する決意を語った。周囲には「最後のＷ杯になるかも」と覚悟をもらしており、これまでの貴重な経験を、この２カ月間ですべて出し切るつもりだ。

　ノーモア・ドイツ。自分がやるべきことは、もう頭の中で整理していた。今後の準備で何が大切か問われた中村は「いかに闘う集団になれるか。そこで違ってくる」と迷わず答えた。チームは２１日から本大会に向けた合宿生活に入る。「グラウンド外の過ごし方が大事。試合に気持ちを乗せていく雰囲気づくりの面で力になりたい」と、自分の役割について語った。

　すべては惨敗した前回大会で味わった苦い記憶と教訓から生まれた発想だ。合宿期間中、主力組と控え組がくっきりと分かれることが多く、コミュニケーション不足から両者の気持ちに大きな隔たりが生まれた。バラバラになった当時のチーム状況を「そうなると（モチベーションを）保つのは難しい。いろんな部分でストレスが生まれるんだよね」と振り返った。

　過ちは繰り返さないために、ピッチの内外で潤滑油となってチームを統率する。「ＦＫ練習したいと思った時には、何人かの選手に声をかけて、一緒に練習して話を聞いてみたりしたい。食事中でも休憩中でも、周りを見渡して、気づいたことがあったらどんどん話していきたい」と話した。

　周囲には「これが最後のＷ杯になるかも知れない」と今大会に懸ける強い思いを口にしている。代表発表は横浜市内の自宅で家族と一緒にテレビで見た。「通過点であると同時に身も心も引き締まりました」。０２年日韓大会では代表メンバーから落選した苦い経験もある。「今回悔しい思いをした選手の気持ちを背負って全力で頑張りたい」。日本代表の司令塔は、つらく苦い経験を乗り越えて見えてきたものすべてを今大会にぶつけるつもりだ。【松田秀彦】

　［2010年5月11日9時51分　紙面から］