南アフリカW杯
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岡ちゃん「川口」カズ切り反省サプライズ

: 最終メンバー発表会見で笑みを見せる岡田監督（撮影・鹿野芳博）

　日本代表の岡田武史監督（５３）は１０日、都内ホテルでＷ杯南アフリカ大会のメンバー２３選手を発表した。０９年９月の右脛骨（けいこつ）骨折から公式戦出場のないＧＫ川口能活（３４＝磐田）を、サプライズ選出。Ｗ杯４大会連続メンバー入りとなる川口に「存在感。引っ張る力を期待」と、プレー以上にチームのまとめ役を求めた。９８年フランス大会で「カズ外し」を決断し、物議を醸した岡田監督が、１２年前のトラウマと決別するように、今回は土壇場でベテランを招集した。

　川口と書いて「カズ」と読む－。岡田監督は「カズ外し」の記憶と向き合い、劇的な人選をした。静かな口調で、ＧＫから２３選手の名を挙げていく。「楢崎、川島、川口」。約３００人の報道陣に、驚きの波紋が広がった。

　岡田監督　監督が言うから動くじゃなく、本当に自分たちがそうしようと思うムードにしたい。上の選手が相談相手がいなくて悩んでいた。川口は兄貴分としてまとめてくれる。そのかじ取りを任せたい。

　出番にはほど遠い「第３ＧＫ」と明言した上で、「存在感。経験のない選手を引っ張っていく力に期待している」とリーダーシップを求めた。川口のチームキャプテン就任は確実だ。

　９８年時は、大会直前に当時３１歳だった大スターのＦＷカズ（三浦知良）を切った。チームにもファンにも衝撃が走り、本大会１次リーグは３戦全敗、物議を醸した。今回は対照的に、当時を知る３４歳の川口を招き入れた。前夜には、練習試合を回避した川口に、自ら電話をかけていた。

　１２年前を踏まえた「人間味が増した選出では？」の質問に、短く答えた。「昔から人間味はあったよ。１２年前のことは関係ないよ」。だが、最後に誰かを落とすという過酷な作業を避け、最初から２３人を確定させたのは、９８年の経験と無縁ではないはずだ。

　トルシエ監督が率いた０２年大会でも、ＦＷ中山、ＤＦ秋田の両ベテランが土壇場で選ばれ、チームを盛り上げた。今回は川口がその役目を担う。そして岡田監督の心からトラウマは消えるだろう。その目には映っていたかもしれない。川口の背中越しに、ほほえむカズの姿が。【井上真】

　［2010年5月11日9時44分　紙面から］