南アフリカW杯
ニュース

ＭＦ石川復帰間に合った！／親善試合

: 後半、途中出場した石川は飛び跳ねながら絶妙なトラップを見せる

＜キリンチャレンジ杯：日本０－３セルビア＞◇７日◇長居スタジアム

　セルビアに０－３と大敗を喫した岡田ジャパンの中で、ＭＦ石川直宏（２８＝東京）が光を放った。後半から右サイドで出場した。持ち味のスピードを生かして再三、相手ＤＦラインの裏に抜け出し、決定機を演出。チームトップタイの３本のシュートを放った。ケガに泣かされてきたが、ラストチャンスの限られた時間で、最終メンバー入りをアピールした。

　限られた時間で、石川がゴールに向かう姿勢を示した。後半開始からピッチに入ると同１６分、ＭＦ中村俊の浮き球パスを相手ＤＦラインの裏で受けてＧＫと１対１になった。右足シュートはコースが甘くキャッチされたが、この日一番の決定機に会場が沸いた。同２４分にも裏に抜け出し惜しい場面を作った。大敗の中で、唯一ともいえる光明だった。

　もっとも試合後、石川に笑顔はなかった。「ご覧の通りなんで…。反省しています」。若手中心のセルビアを、チームとして崩し切れなかった危機感の方が大きかった。相手もＷ杯メンバー入りをかけた「選考会」の意味合いが強く、必死だった。終了間際にＧＫまで交代させられたほど。「選考という方向を向いていた相手を、対日本という気持ちにさせられなかったことが悔しい」と口にした。

　昨年１０月、５年ぶりに代表復帰を果たした。しかし、その後は左ひざ前十字靱帯（じんたい）不全損傷など故障が続いた。なえそうな気持ちは、「清めの塩」で奮い立たせてきた。昨季から試合には初詣でに訪れた神奈川県内の神社で清めてもらった塩を持参する。この日も、試合前にロッカーでなめ、足にこすりつける「儀式」を行い、ピッチに立った。

　Ｗ杯代表は５月中旬に発表される。当落線上の石川の立場は微妙だが、立ち止まって“待つ”気などない。「何と言われようとも前へ進んでいくしかない」。この日、ゴールへ、勝利へと向かった強い気持ちでアピールを続け、メンバー入りを勝ち取るつもりだ。【八反誠】

　［2010年4月8日9時16分　紙面から］