南アフリカW杯
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Ｗ杯直前にオシム氏が日本代表を最終点検

: ０８年３月、試合の視察に訪れたオシム氏（左）にあいさつする岡田監督

　岡田ジャパンが、Ｗ杯南アフリカ大会直前に日本代表前監督のイビチャ・オシム氏（６８）から最終点検を受ける。５月３０日の強化試合イングランド戦が、同氏の自宅があるオーストリア・グラーツで行われることが正式に決まり、日本協会は同氏に招待状を送る方針を固めたことが、１１日に分かった。会場は、同氏がかつて８年間指揮したシュトゥルム・グラーツの本拠地グラーツ・リーベナウ（１万５３２０人収容）で、近日中に発表される。優勝候補相手に腕試ししながら、同氏の助言ももらえれば一石二鳥となりそうだ。

　Ｗ杯４強へ、天運が向いてきた。Ｗ杯初戦のカメルーン戦（６月１４日）２週間前に行われるイングランドとの強化試合が、オシム氏の自宅の１つがあるグラーツで行われることが最終決定した。グラーツから西に１１０キロ離れたイルドニングで直前合宿を行うイングランドが、グラーツ・リーベナウを試合会場に指定してきた。

　日本協会関係者は「グラーツに決まったのは偶然だけど、オシムさんはグラーツに住んでいるし、見に来られると聞いている。選手たちは緊張するかもしれないけど、刺激になるでしょう。試合前後に岡田監督、選手とも接触すると思う」と話した。同氏を試合に招待する方針を固め、今後、正式に打診する意向。オシム氏も視察を前向きに検討する見込みだ。

　岡田武史監督（５３）は０８年３月、就任７戦目でバーレーンに０－１で負けたあと「脱オシム」を宣言した。「今まで踏襲してやってきた部分が多い。我慢してきたこともあるけど、これからはオレのやり方でやっていく」と、０７年１２月の就任直後に打ち出した「接近、展開、連続」を極めようとした。しかし２年たっても著しい発展は見られず、足踏み状態が続いている。

　オシム氏は９０年のイタリア大会で旧ユーゴスラビアをＷ杯８強に導いた実績がある。戦術を変えることはできないが、本番を間近に控えた心構えやピッチ外の生活面、モチベーションの持って行き方など、岡田ジャパンが「オシムの言葉」から得られるものは計り知れない。

　「オシムさんは尊敬しているけど、オシムさんのやり方はオシムさんしかできない」と言う岡田監督だが、尊敬できる人の助言は積極的に取り入れるタイプ。帝京高の古沼元監督を合宿中に招待し、アドバイスを求めたこともある。偶然決まった、オシム氏の第２の故郷グラーツ（生まれ故郷はサラエボ）での一戦。日本が目指す世界４強に弾みがつくかもしれない。

　［2010年3月12日8時25分　紙面から］