南アフリカW杯
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第３のセンターバックは｢脱サラの星｣村松

: ミニゲームで、平山（左）と激しく競り合う村松（撮影・栗山尚久）

　「脱サラの星」が生き残りを強烈にアピールした。日本代表のＤＦ村松大輔（２０＝湘南）が鹿児島合宿２日目の２６日、１１対１１の実戦練習で、ＦＷ平山相太（２４＝東京）を激しいプレスで吹っ飛ばした。身長１７６センチと小柄ながら、俊敏な動きと体の強さで、中沢、闘莉王に続く第３のセンターバックに名乗りを上げた。ホンダＦＣ（ＪＦＬ）で月給１６万円で働きながら、昨年湘南入りしたシンデレラボーイ村松の今後が、楽しみになってきた

　ガツンという鈍い音が、ピッチに響いた。１１対１１で行われたミニゲームの開始直後。中沢とセンターバック（ＣＢ）のコンビを組んだ村松が、ゴール前の平山にプレスをかけた。低い重心で体ごと圧力をかけると、平山が前のめりになって１メートル先まで倒れ込んだ。身長１７６センチのＣＢとしては小柄な村松が、１９０センチの平山を吹き飛ばした。

　若手主体で臨んだ１月６日のアジア杯予選イエメン戦で初代表を経験しながら、インフルエンザで緊急帰国。その際、岡田監督から「（Ｗ杯メンバーの）大枠には入っているから」と異例のお墨付きをもらい、今回の合宿に呼ばれた。俊敏さと体の強さを併せ持つところが評価された。

　一昨年まではサラリーマンだった。ホンダＦＣで自動車のギアを組み立てながら、月給１６万円でプロの夢を追い続けた。５～６時間働いてから、練習に向かう毎日。スカウトの目に留まって昨年、Ｊ２湘南入り。１年目から定位置をつかみ、一気にＡ代表まで駆け上がった。

　村松　すごく大変でしたけど、目標というか、夢があったので頑張ってこれました。Ａ代表とは思っていませんでしたけれど、ロンドン五輪には出たかったのでそれを目指していました。

　今合宿に参加する２７選手の中で最年少２０歳だが、昨年９月には３歳上の姉さん女房をもらった。結婚式も、新婚旅行も来年に先延ばしして、滑り込みでのＷ杯出場へ走り続けている。

　村松　正月も嫁さんとは一緒にいられなかった。でも分かってくれていると思います。一切遊びもしないよう、サッカーに集中できるよう結婚したんで…。

　茶髪で、まゆ毛をそり上げているが、内面はまじめだ。闘莉王、中沢に続く第３のＣＢの座を確保すれば、夢のＷ杯が現実味を帯びてくる。【益子浩一】

　［2010年1月27日8時54分　紙面から］